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Smokey Robinson & the Miracles 「A Pocket Full Of Miracles」(1970)

 観客受けを意識した仕上がりながら、内容は美味しい。

 腰砕けな甘々カバー集の"What Love Has...Joined Together"(1969)とは一転、本盤は聴きごたえあるソウル・アルバム。ミラクルズは69年、70年と各年LP3枚の大量生産体制だったが、きちんと力を入れたアルバムもあった。

 泥臭くファンキーなA1で幕を開け、甘いアシュフォード&シンプソンのミドルなA2へ。モータウン流の荒っぽいバック・トラックな作りなところもあるけれど、押さえるべきグルーヴィーな味わいは、しっかり押さえてる。

 本盤もカバーが多い。ミラクルズはいわゆるアーティスティックな方向に向かわず、もっと芸能路線だったのかな。リアルタイムでないぶん、その辺の機微がピンとこない。
 ここでのカバー曲はサイモン&ガーファンクルのA6、ビートルズのB1。
 B1には冒頭にクリス・ケナーの61年作品をわずかに混ぜるユーモアを見せた。
 なおケナーの曲は65年のチャック・ジャクソンとマキシン・ブラウンのシングルが有名曲だそう。

 テンプテーションズにスモーキー・ロビンソンが提供したA5も、クリーム"Sunshine of Your Love"の枠をはめる茶目っ気あり。
 あとはモータウンの作家集による楽曲で、A1はミラクルズのメンバーによる共作。スモーキーはA4にも作家としてクレジットがある。

 アルバムの統一性や楽曲コンセプトは明確でない。当時のヒット曲を数曲つまみ食いして、あとは書き下ろし曲を並べる。いわゆるアイドル歌謡のアルバムづくりだ。
 けれども演奏のグルーヴと、スモーキーの伸びやかなファルセットで聴かせる。
 たぶんリアルタイムの世代で聴いていたら、売らんかなの姿勢が鼻について耳から遠ざけてたと思う。
 
 後追い世代が無邪気に、なおかつ数十年寝かせて本盤を聴いたら、予想以上に楽しめた。
 ストイックなソウル・アルバムとして聴いてはいけない。求道や誠実さとは別ベクトルだから。楽しくて消費されるスタイルながら、歌声と演奏に数十年たった今でも、音楽から説得力が揮発していない。

 全体として、少し上ずり気味で性急なトーンが滲む。
 逆にA6は引っ掛かりが無く、きれいすぎてサラッと聴いてしまった。B1みたいにひとひねりしてると、また別だったかも。



Track list
A1 Flower Girl 3:40
A2 Who's Gonna Take The Blame 3:25
A3 Darling Dear 3:07
A4 You've Got The Love I Need 3:25
A5 Get Ready 3:15
A6 Bridge Over Troubled Water 4:40
B1 Something / Something You Got 4:25
B2 Point It Out 2:34
B3 Don't Take It So Hard 3:50
B4 Backfire 3:20
B5 The Reel Of Time 3:40
B6 Wishful Thinking 2:57

Personnel:
The Miracles
Bill "Smokey" Robinson - lead vocals
Claudette Rodgers Robinson - soprano vocals
Warren "Pete" Moore - bass vocals
Robert "Bobby" Rodgers - tenor vocals
Ronald "Ronnie" White - baritone vocals
Marvin "Marv" Tarplin - guitar

Other Credits
The Funk Brothers - instrumentation

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