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井上陽水 「カシス」(2002)

 少し大人寄り。両極端な楽曲をまとめた。

 先行シングル2曲と、発売後にもう1曲。タイアップは無いようだが、シングルと連動して拡販は計っている。(4)でBANANA U・G、(8)~(10)で平井夏美と馴染みのアレンジャーを当てつつ、(5)で大村雅朗、(7)で美久月千晴を起用して統一感はさほどない。
 逆に全11曲7曲を陽水自らアレンジして、自分の色を強く出したアルバムと見るべきか。カバー集はあるものの、4年ぶりのオリジナル・アルバムだし。

 しっとりメロディアスなバラードを入れる一方で、ポエトリー・リーディング風の(4)を投入したり、手持ちのカードを切るだけには陥っていない。
 それでも全体的には大人しい。挑戦もスパイスの一つに留まり、トラックのドライブ感は希薄だった。 
 (3)のようなバラードでは、むしろ乾いたトラックが似合ったけれど。

 それでも残響をたっぷりまとった陽水の歌声で、うねりは出る。ダブル・トラックも使ってなまめかしさを歌声で表現した。

 アルバムの性格は前半がモダン、後半がオールディーズ趣味と大きく分類される。
 前半の硬質なエレクトロ・ロック調のアプローチよりは、後半の保守的な世界のほうが素直に聴けた。
 マージー・ビート風をあからさまに出した(8)も、陽水には意外と珍しい曲だ。

 最後は静かなバラードで幕。無理にアップテンポへ挑戦しつつ、結局はしっとり路線が強力に勝った。



Track list
01. イミテーション・コンプレックス
02. この世の定め
03. Final Love Song
04. テレビジョン
05. 恋のエクスプレス
06. 森花処女林
07. パンキー・ロカビリー
08. 結局 雨が降る
09. You Are The Top
10. 都会の雨
11. 決められたリズム

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