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井上陽水 「永遠のシュール」(1994)

 サイケ風味をパラリ。静かな佳作に仕上がった。

 前作の躁状態から一転して、地に足の着いた落ち着きを見せたアルバム。歳相応、を意識かもしれない。
 しょっぱなからファルセットを取り入れた奇抜さながら、根本はむやみに冒険していない。若作りや新機軸をむやみに追わず、表現の幅を広げる形で斬新さを狙った。

 陽水流のコントロールされた歌声は、しっとりしたメロディへきれいに馴染む。メロウさも抒情性をいくぶん抑えた感あり。成熟さを堂々と披露した。
 (3)や(4)のような陽水節もくどくなり過ぎず、サラッと聴ける。
 アレンジもむやみに派手にせず、サイケ風味のエコー強調な音像でふんわり幻想的にまとめた。
 まるでここでいったん、引退するかのよう。

 (5)は忌野清志郎と共作。和音の浮遊感が心地よい。
 これはハバロフスク&マフィア名義で、91年8月25日に福岡のフェス"Acostic Revolution Star Stocck 91"に出演で披露された。
 メンバーは陽水に清志郎、高中正義と細野晴臣にチト河内って豪華なしろもの。

 どの楽曲もメロディがいい。テンポにかかわらず、しっとり寛いでる。
 ちょっと硬めのバンド・サウンドは流行を追いつつも、残響を上手く使って角を少し和らげた。
 歌もしみじみ聴ける。この時代の作品で、もっとも素直に楽しめたアルバム。
 
 いい感じで年輪を重ねた作品だ。この調子でとんとんとリリースする手もあったろうに。
 奥田民生井上陽水"ショッピング"(1997)はあるものの、オリジナルアルバムは"九段"(1998)まで間を置いた。
 

Track list
01. Queen
02. 真珠
03. 恋の神楽坂
04. 移動電話
05. 野蛮な再会
06. カミナリと風
07. ドレミのため息
08. 土曜日は晴れた
09. タイランド ファンタジア
10. 目が覚めたら

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