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井上陽水 「ガイドのいない夜」(1992)

 歳を重ねた時の流れを、しみじみ感じる盤。

 セルフ・カバー第二弾。今度は旧作の再録音な企画だ。
 ファン・サービスで満遍なくキャリアを振り返らず。
 "陽水II センチメンタル"から(1)(2)(9),"ライオンとペリカン"から(4)(11)と、あんがい偏らせた。

 他は(3)が"スニーカーダンサー"、(5)が"氷の世界"、(6)が"招待状の無いショー"、(8)が""White""、(10)が"二色の独楽"から。
 (7)が陽水のスタジオ録音では初収録で、元は沢田研二に提供曲だ。
 
 陽水のファンで繰り返し彼の盤を聴きこんだなら、若いころと違いや変化に想いを馳せられるのだろう。
 しかし旧作の再録は、この時点で完成していた陽水節の強固さによって飾りっ気が過剰に思えてしまう。むしろ派手に叫びまくる(7)が素直に聴けた。

 彼のファンとは言えない、ぼくの感想です。どの曲もコントロールされた歌は上手いと思うが、選ぶなら本作よりは旧作の生々しさのほうが好み。

 "陽水II センチメンタル"からの選曲に関して、特にそう思う。
 彼の最高傑作とぼくが思う、本盤から3曲選ばれたのは単純に嬉しいけれど。整ったアレンジと演奏、鎧をまとった歌声で上品に歌われても胸に来ない。

 ディナーショーみたいに「上がりでオマケの営業ショー」なら、もっと割り切って聴ける。だが陽水はこの時点で現役であり、本盤も単なるノスタルジーに浸ってではない。
 再構築で新たな命を吹きこもうって風情でもなさそう。まさにファンサービスの企画盤っぽい。その中途半端さが、聴いててピンとこないのかもしれない。

 陽水の家族がコーラスをしているらしい(2)は、孤高の若者が家族を持って幸せになった人生流転ぶりが、逆に微笑ましく思えるが。
 本盤時点で陽水は44歳。すでにぼくはこの歳を、何年も前に過ぎ去った。すなわち年寄りの感想めいているが。


Track list
1.つめたい部屋の世界地図
2.東へ西へ
3.海へ来なさい
4.カナリア
5.白い一日
6.結詞(むすびことば)
7.Just Fit
8.愛の装備
9.夏まつり
10.眠りにさそわれ
11.とまどうペリカン

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