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井上陽水 「ハンサムボーイ」(1990)

 ビジネス寄りに吹っ切り集中したアルバム。

 全11曲中、7曲がタイアップつき。昭和が終わる象徴となった(9)、"筑紫哲也NEWS 23"のエンディングでさんざん聴いた(4)、そしてとても有名曲(6)。
 (5)は荻野目洋子へ提供曲のセルフカバーだ。

 内省とまで極端ではないが、密やかなソング・ブック集だった前作"Negative"(1987)から3年たった。
 陽水は本盤でどっぷりとバブルに浸かり、売りにかかった。とはいえ別に、売れ線狙いで内容の薄いアルバムではないところが、陽水の怖いところ。

 思えばぼくは(4)を聴いて陽水がフォーク歌手ってイメージを持ったのかも。1stアルバムから聴き返して、アコギを軸にした曲はあっても陽水はあからさまな四畳半フォークな歌は無かった。
 だがこの曲は、饒舌に言葉が譜割りからあふれていく。初めての例えば拓郎的なフォーク・ソング。その一方で陽水らしい着飾った鎧によるスタイリッシュさを見せた。

 他の曲もエレクトリックと生演奏がいい塩梅で混ざったアレンジばかり。決してアレンジャーは統一されておらず、楽曲の製作過程もまちまちなのに。
 アレンジは星勝が(5)(6)、川島裕二が(3)(4)(9)(11)。(9)には藤井丈司もクレジットあり。
 久しぶりに後藤次利が(4)、井上鑑が(8)が起用された。(1)は細野晴臣が参加する異色なコラボだ。
 さらに平井夏美の名義で川原伸司が(2)(6)(10)に参加した。

 全体的にすっきりと奥行ききれいな音像で統一されている。
 陽水の歌声はたっぷりのエコーにまみれ、再び声を作って陽水は身を守った。ブランドを明確にするためかもしれない。
 流麗なアレンジに塗りつぶされて最初は分からなかったが、曲調はアコギ一本でさらり歌っても似合う楽曲が多い。

 ヒット曲や耳馴染み多い曲が多く、この時代を俯瞰するのに良いアルバムだろう。
 綺麗すぎて、ちょっと聴くのに構えてしまったけれど。

Track list
1 Pi Po Pa
2 エミリー
3 ライバル
4 最後のニュース
5 ギャラリー
6 少年時代
7 フィクション
8 Tokyo
9 夢寝見
10 自然に飾られて
11 長時間の飛行

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