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井上陽水 「あやしい夜をまって」(1981)

 大御所の風格を漂わせ始めたイメージある。

 A1は一回り年上のオッサンが歌うカラオケで、さんざん聴かされた印象がある。ほんらい若者向けだったはずのニューミュージックが世代交代を始めて、後の世代になる僕はムード歌謡とたいして変わらない印象を陽水に持っていたのが正直なところ。
 オフコースは逆に、同じクラスの奴でファンがいたからむしろ親しみやすかった。

 本盤のスタッフは五目味。前作で活躍した井上鑑は身を引いた。鈴木茂は残留してA5をアレンジ。さらに星勝が復活してA1~4、B4を担当。このあと陽水のスタッフで活躍する川島裕二がB3で初登場した。
 他にA5は安田裕美、A7は矢野誠がアレンジでクレジットされた。

 サウンドはぐっとセンチメンタルな保守的路線になった。B5を筆頭に聴きようによってはトロピカルに感じられなくもないのだが、特にアルバム冒頭はストリングスをたっぷりかぶせて、情感を滴らせる方向に向かった。

 ロックなアプローチをとったA4、爽やかな多重コーラスのA6やB4もあるけれど。
 他の曲が強烈に主張する歌謡曲なアプローチに埋もれて、それこそ1st"断絶"の時のように形式のみに聴こえてしまう。
 B2もロックっぽいけれど歌謡曲の方法論な気がした。
 とにかくアルバムの根幹において、ずぶずぶにメロウな世界観を持っている。

 川島が担当してニューウェーブなB3は逆に本盤において浮いてしまった。単独で聴いたら、陽水の音楽的な挑戦とも取れるのに。
 まさにB3のように生演奏に拘らずシンセを多用したり、あれこれアレンジに新味を狙った痕跡はある。しかし根本は保守的。
 陽水はのちの99年から今堀恒雄を重用したり、若い世代のエキスを貪欲に吸収する傾向がある。この時点で、川島がまさにその立場だったのだろう。

 すっかり陽水節でコントロールされた歌声は、作り物っぽさが強まって隙や粗が無いよう整えられている。
 この歳になると陽水の成熟っぷりを受け入れられなくもないが、リアルタイムの世代感覚を意識すると「一回り上の大人向け」な音楽と思えてしまう。


Track list
A1 ジェラシー 3:56
A2 海はどうだ 3:45
A3 風のエレジー 3:56
A4 My House 4:20
A5 もうじき夏がくる 5:41
B1 星空へHappy Game 4:43
B2 天使inマガジン 3:00
B3 Yellow Night 4:40
B4 Love is you 4:49
マリーナ・デル・レイ ~ ナイト・メロディー
B5.1 マリーナ・デル・レイ 4:01
B5.2 ナイト・メロディー 1:00

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