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井上陽水 「スニーカーダンサー」(1979)

 井上陽水のブランドが確立した一枚。隙無くまとまっている。

 A1が高中正義、A3が小室等、B4が星勝。"氷の世界"で忌野清志郎と共作とは本質的に違う、身内とはいえ他人が作曲をなぜ歌うか。この辺が良く言えばプロの仕事、うがって見ると創作力に悩んでいた風に思えてしまう。
 演奏メンバーはスタジオ・ミュージシャンがずらり。若い世代を並べたように見える。
 アレンジは星勝が(A-3,4,B-2,4,5)と半分に留まる。残り半分(A-1,2,5,B-1,3)を高中正義が初めて担当した。

 とはいえ完成度はきっちり。アレンジはAOR調でまとめ、ボーカルもアレンジの中に埋め込まれた。陽水の独特な節回しも芸として仕上がり済み。
 前作"white"での迷いや試行錯誤がきれいに消えて、きっちり商品として仕上がった。
 ですます調や唐突な言葉選びの歌詞も、奇妙さでなく陽水の味として昇華された。

 日本語でかつ陽水って先入観ゆえにこんな感想だけれど。情報の少ない洋楽としてこんなアルバムを聴いてたら、もっと高く評価してたと思う。
 いや、そこらのミュージシャンにはこんなアルバムは作れないか。弦もブラスもきっちり足して、たっぷり予算かけて作ってる。

 譜割をモタらせるような陽水の節回しは、爽やかなAORでもB1のように歌謡曲寄りでも違和感なく整った面持ちを保つ。
 感情表現うんぬんよりも、一つの楽器のよう。むしろ感情を押し殺し、破綻無きよう喉を震わせてるように聴こえる。

 とてもプラスティックなアルバム。たぶんリアルタイムでファンとして聴いたら、抜群にハマっていたろう。シングルに捨て曲混ぜてアルバムにしたって粗さはどこにもない。
 楽曲とスタッフと製作、だれもが手を抜かず丁寧に作っている。この手堅さはBGMとしてさまざまな場面に似合いそうだ。
 ちょっと大仰で鋭いところで、凡百のBGMと違う存在感を示した。


Track list
A1 スニーカーダンサー
A2 Mellow Touch
A3 事件
A4 今夜
A5 ジェニー My Love
B1 なぜか上海
B2 フェミニスト
B3 娘がねじれる時
B4 海へ来なさい
B5 勝者としてのペガサス

Personnel:
井上陽水 : ag,vo
高中正義 : eg ag solina
井上茂 : drums
高橋ゲタ夫 : bass percussion
石川清澄 : ap
上原裕 : drums synthesizer drums
田中章弘 : bass
乾裕樹 : ap ep synthesizer hammond organ
中西康晴 : ep ap
今剛 : eg
椎名和夫 : eg
菅原由紀 : percussion timbales
中島御 : percussion
吉川祐二 : percussion
衛藤幸雄 : flute
相馬充 : flute
石橋正治 : flute
土岐英史 : sax
ジェイク・H・コンセプション : sax
数原晋 : flugel forn
伊集加代子 : chorus
和田夏代子 : chorus
鈴木広子 : chorus
吉田美奈子 : chorus
多グループ : strings
加藤高志グループ : strings

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