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Larry Young 「Fuel」(1975)

 スペイシーなフュージョン寄りで疾走する。

 ラリー・ヤング晩年の作品で、本盤のあと"The Magician"(1977)を発表後に彼は38歳で病死する。
 この時期は頻繁にアルバムを出せない時代だったらしい。"Lawrence Of Newark"(1973)から二年ぶりのリリース。ワンショット契約でレーベルを渡り歩いた。本盤はアリスタからと中堅どころなメジャーからの発売。とはいえ本盤だけで契約は終わってしまう。

 電気仕掛けなのは時代的に不思議でないといえ、奇妙なのは冒頭からスキャット風味で飛び出すLinda "Tequila" Loganの歌声。当時の彼の編成か。(1, 3, 6)の三曲で参加してる。
 他に彼女の参加盤を見ると、トニー・ウィリアムズ・ライフタイムの名があり。ライフタイムつながりのようだ。

 もともとオルガン・ジャズの魅力は粘っこく広がる音色だ。さらに本盤ではシンセを駆使して電化イメージを強めた。
 さらに曲によっては変拍子やユニゾンのキメも駆使して、ぐいぐいチェンバー・プログレ路線で攻めてくる。

 ジャズを期待するとゲテモノっぽく感じるだろうが、酩酊感あるインスト・プログレをイメージしたらけっこうハマる。
 Linda "Tequila" Loganの収録曲が飛び飛びで、そちらはファンキー路線に向かう。つまり一つの方向性に留まらない、多様性が楽しめるしくみ。

 のちにジェフ・ベックやルー・リードとの仕事で名をあげるFernando Saundersがベースを弾いた。ヤン・ハマーと彼は当時演奏しており、その流れと想像するラリーとは本盤が唯一の共演になった。
 いちおうジャズを意識したベースとはいえ、このロックに繋がる硬質さがグルーヴに多彩さを・・・とつなげるのは無理あるかな。
 サンダーズも含めて、このリズム隊がラリーの当時のバンド・メンバーらしい。のちに"Live At Carnagie Hall"(2016)ってタイトルで、同じ顔触れ同じ75年のライブ・ブートがDiscogsに記載あり。曲名もほぼ本盤と同じ。Youtubeにも音源が上がってた。


 
 さて、本盤。ラリーはジャズメンってこだわりなく、周りにずらりと鍵盤並べるスタイルで曲ごとにシンセやエレピを弾き分けている。
 ぺたっとしたタッチが基調ながら、あまり余韻残さぬ音色も使って歯切れ良さもフレーズに内包した。

 ジャズ、プログレ、フュージョン。どの分野にもすとんと当てはまらず、混ざり合う隙間と合間を縫うようなサウンドだ。
 そのうえ鍵盤の音使いやノリが、いかにも70年代風で古臭さも否めない。

 だけど時代の仇花と耳をふさぐにはもったいない、したたかなノリがある。過去のキャリアに囚われず、奔放に様々な音楽を演奏する貪欲な好奇心がそこかしこから滲んだ。
 最初は戸惑うけれど、聴き重ねるにつれて面白く思える盤だ。


Track list
1 Fuel For The Fire 6:07
2 I Ching (Book Of Changes) 6:25
3 Turn Off The Lights 7:03
4 Floating 4:12
5 H + J = B (Hustle + Jam = Bread) 6:17
6 People Do Be Funny 3:42
7 New York Electric Street Music 8:33

Personnel:
Larry Young - keyboards(Synthesizer [Mini Moog Synthesizer, Cdx-0652 Portable Moog Organ, Frm-s810 Freeman String Symphonizer, Hammond Organ B-3], Electric Piano [Fender Rhodes], Piano [Acoustic] )
Santiago Torano - guitar
Fernando Saunders - bass, backing vocals
Rob Gottfried - drums, percussion
Laura "Tequila" Logan - vocals(tracks: 1, 3, 6)

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