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井上陽水 「二色の独楽」(1974)

 演奏が誰だろうとも、陽水のキャラはぶれない。

 全曲をロスにて録音。
 正確なクレジットを把握してないのだが、ジェシ・エド・デイヴィス/デヴィッド・T・ウォーカー/レイ・パーカーJR(g)、ジョー・サンプル/ジャック・ニッチェ(key)ハーヴィー・メイソン(ds)らが参加らしい。

 要は一流のミュージシャンをずらり並べた。
 リズム隊もさることながら、弦とブラスの華やかでスマートな響きが、本盤へ良い雰囲気をかぶせた。
 とはいえアレンジは基本的に星勝。過去との継続性を陽水は維持した。
 なおA6/A7/B3/B6はジーン・ペイジ、A8はジャック・ニッチェが編曲を行っている。全曲を彼らがアレンジしてたら、かなりアルバムの印象も変わったはず。

 単なる洋楽かぶれの音楽に陥らない。
 たしかにファンキーなリズム・アレンジはあるものの、抒情フォークの色も消しきれていない。メロディもしくはコード進行によるものか。
 ぼくの耳では、経緯を知らずに聴いてたらロス録音と気づけたか怪しい。

 たとえばA5やA8みたいに、どっぷりフォークな曲を敢えてロスで録音する戦略はいまいち理解できず。
 日本人が演奏した場合の野暮ったさを、消したかったのだろうか。
 まさにA7は曲調こそフォークだが、ペイジの流麗な弦アレンジでペーソスをだいぶ薄めてる。歌もフォークよりカントリーっぽい味わいを施した。

 曲によって溌剌さとしみじみっぷりを、陽水は見事に歌い分けた。
 甘く滑らかな陽水のボーカルは、しっとり響いた。少し節回しに癖が強まっている。B1での絞り出しながらもスマートなシャウトも興味深い歌い方だ。

 演奏と同録でなくダビングしたような馴染み具合。力技で演奏を自らの世界へ引き寄せる一方で、前作で聴けた演奏と溶けるミックスは採用していない。

 前作は曲ごとに曲調を分けていたが、本作はバッキングの色合いは似通ってるはずなのに、アレンジと歌い方で世界観を描き替えている。


Track list
A1 傘がない(イントロダクション)
A2 夕立
A3 太陽の町
A4 Happy Birthday
A5 ゼンマイじかけのカブト虫
A6 御免
A7 月が笑う
A8 二色の独楽
B1 君と僕のブルース
B2 野いちご
B3 ロンドン急行
B4 旅から旅
B5 眠りにさそわれ
B6 太陽の町

Personnel:
Guitar:Jusse Ed Davis, Dennis Budimir, Ray Parker Jr., David T・Walker, Louie Shelton, 安田裕美, 井上陽水
Steel Guitar: Orvill Red Rhodes
Drums: Edward Green, Harvey Mason
Bass: Wilton Felder, Max Bennett ,Scott Edwards, Reine Press
Keyboards: Joe Sample, Larry Muhoberac, Clarence Mcdonald, Peter Robinson, Jack Nitzche
Percussion: Joe Clayton, Milt Holland, Alan Estes, Gary Coleman

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