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Guided By Voices 「Devil Between My Toes」(1987)

 縛られないアイディアの奔流が詰まったデビュー盤。

 ガイディッド・バイ・ヴォイシズが87年にSchwa Recordsから発売した。Discogsでは本盤以外に本レーベルからの発売は無く、もしかしたら自主レーベルなのかもしれない。

 今、こないだ出たGbVのリーダーであるロバート・ポラードの自伝"Closer You Are: The Story of Robert Pollard and Guided By Voices"を読み始めた。ぼくの英語力では遅々として進まず、拾い読み程度に近いが。
 
 それによるとロバートは子供のころ、地元デイトンでスポーツのヒーロー。ものすごいスポーツの才能があったようだ。ロックに耽溺して数多くのLPを集めてもいたらしい。
 学校の先生を務める真面目さと知性も持ちながら、ロック・バンドを稼働させる茶目っ気とパワーもあった。
 型にはまらない男が、ロバートだった。膨大な楽曲を作る創作力は当時からあったらしく、耳馴染みある楽曲を求める顧客をものともせず、新曲で固めたライブの敢行を図ったとある。
 けっこう我の強いタイプと想像する。たぶん彼は周りにあわせず我が道を行く。

 本盤をリリースはロバートが30歳の時。まだ上掲の本をここまで読み進めておらず、この時期のストーリーがイメージ沸いていない。
 しかし奔放なアイディアを存分に披露する、ロバートの萌芽と本質が見事に表された。

 イントロで始まり平歌があってサビから間奏へ。そんな定型的な作品構成へロバートは囚われない。正確に言うと、今現在はだいぶコナレて定型的な作品のほうが多くなった。
 しかし当時は違う。正式な音楽教育を受けたわけでもない、めちゃくちゃにロックが好きで破天荒なアイディアをまとめることにためらいのない、我の強いロバートの個性が見事に現われた。

 本盤の参加メンバーは昔なじみのバンド仲間、ケヴィン・フェンネル(ds)とミッチ・ミッチェル(b)のトリオ編成が基本。ロバートがギターと歌だ。
 だがゲストで弟のジム・ポラードや、のちに独特の才能を開花させるトビン・スプラウトらの名前もある。

 おそらく本盤をきっかけとして、ロックスターへの道を夢見たわけではあるまい。自主製作でLP300枚程度の限られたプレス枚数だ。
 あくまで趣味の範疇で、しかし確固たる独特な世界をロバートは描いた。時に宅録のような、すごく荒っぽい録音環境で。いちおうはスタジオ録音のようだが。
 
 A面とB面にそれぞれタイトルをつける、70年代的なコンセプト・アルバムの構成を持って。しかし楽曲は見事にとっ散らかっている。むしろ数曲、すごくメロディアスな作品あることのほうが意外性あるくらい。
 実験的な世界観に留まらず、ロバートには美しいメロディを量産する才能が確かにあった。

 曲の構成を気にせず、興の趣くままメロディを連ねて一曲に仕上げる。言葉遊びのような歌詞を載せて。それをぼくは勝手に「一筆書き曲」と呼んでいる。
 普通だったらもっと型にはめてカッコつけしたくなるだろうに。ロバートは全くこだわらない。自らの感性を信じ、てらいなく提示した。その潔さこそが、本盤の魅力だ。
 
 ここでロバートはスカム志向や実験音楽といった逃げ道を用意していない。ロックをやっているだけ、のはず。
 しかし凄く変だ。だからこそ、本盤は面白い。

Track list 
Side 1 (Buckeye Side)
1. Old Battery 1:46
2. Discussing Wallace Chambers 1:48
3. Cyclops 1:50
4. Crux 2:24
5. A Portrait Destroyed By Fire 5:09
6. 3 Year Old Man 1:39
Side 2 (Briar Side)
1. Dog's Out 2:09
2. A Proud And Booming Industry 1:03
3. Hank's Little Fingers 2:13
4. Artboat 2:27
5. Hey Hey, Spaceman 2:51
6. The Tumblers 2:39
7. Bread Alone 1:09
8. Captain's Dead 2:00

Personnel:
Robert Pollard - guitar & vocals
Mitch Mitchell - bass & vocals
Kevin Fennell - drums
with
Tobin Sprout - guitar & vocals
Peyton Eric - drums
Jim Pollard - guitar
Steve Wilbur - guitar
Phil Nicely - beatbox on 4

 なおぼくは何年も前から自分のWebでGbVの感想文をあげている。本盤の感想はこちら。たぶん00年の4月に書いた。うわー、もう18年まえか。

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