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細野晴臣 「アーカイヴスvol.1」(2008)

 細かな仕事を集めた貴重な作品集。第二弾は出ないのか。

 膨大にリリースしてきた細野晴臣だが、実際の仕事はもっと多いらしい。数曲の提供に留まり、埋もれた音楽もあったようだ。本盤は08年に出た87~06年の作品集。
 当時は同時発売で"デイジー・ホリデー presented by 細野晴臣"もあり。こちらも続編は出ておらず。
 
 少なくともこの"アーカイヴス"は第二弾へ続くと期待したが、10年たった今も続編は出ていない。本盤の売れ行きによるものか。それともCDになるほど音源がたまっていないのか。振り返るより前へ進みたくなったのか。
 
 楽曲は全16曲。テレビや展示用に製作された音楽集だが、例えば沖縄での音楽劇"万国津梁"用の曲は、ボーカルを新たにダビングするなど手を加えて、単なる過去作の寄せ集めにはしていない。

 楽曲はテクノが基調ながら、電気仕掛けに固執無し。アコースティック楽器も時に使いってる。リズムとメロディを使いながら、凡百のロックに仕上げずテクノを追求する、細野の美学を様々に楽しめる。
 今聴くと、アコースティックで生演奏に回帰した現在の細野に通じる萌芽も見いだせるとこも面白い。

 アジア的なエキゾティックと無国籍なビート感、芳醇な旋律要素と、少ない音列での物語性。そしてもちろん、打ち込みと生演奏。
 多様で相反する要素が、細野の中でいともたやすく解釈と料理が施され、キュートで幻想的な風景がすらりと表現された。

 本盤に収められた音楽は、自らが主役を張るキャッチーなメロディのポップスではない。何らかのBGMがほとんどだ。自己主張しすぎてはいけない、でも無個性に埋もれもしない。主役を邪魔もしないが、音楽単独でも成立する。
 
 オムニバスなだけにアルバムの統一性やストーリー性は少ない。万華鏡のように次々と音楽が現れ、移り変わる。 
 音楽の良さを、音楽を聴くって楽しみを実感できるアルバム。

 もしくは細野のアイディア・スケッチを見てるかのよう。これらは完成品でありながら、次々と脈絡なく現れる芳醇な音楽の集合体が細野の頭の中を覗いてるように感じるんだ。
 
 地味なアルバムではある。細野の他の作品を先に聴いてから、本盤へ到達したほうが味わい深く楽しめると思う。だが聴き逃すには惜しい。
 今夏に、Amazon Music Unlimitedほかで配信も開始された。

Track list
~「万国津梁」より
01 Roochoo Divine
02 Rainbow Road
~「ウォーカーズ」より
03 Walkers
04 Walking Vibration
05 Ceremony
~ 「美と出会う」より
06 Seeing Beauty
07 Lucky
~ 安珠写真展 「サーカスの少年」より
08 Garcon
09 Cirque
10 Pantomime
11 Tente
~ CXイベント「夢工場」
12 Festa
~ 矢作俊彦・作のWEB小説「Jane Doe」より
13 Afro Jane
~ 自由創作
14 Talking Dog
~ 「タイタニック・エキシビション」より
15 Tragic Suite Of Titanic
16 It Was Sad When That Great Ship Went Down

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