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Tower of Power 「Rhythm and Business」(1997)

 自分らのブランドを壊さず、泥を塗らず。見事な営業っぷりを見せた快盤。

 2年ぶりのアルバム。Jeff Tamelierがギターで参加、Mic Gilletteが数曲でトランペットとトロンボーンを吹いた以外は、前作"Souled Out"(1995)のメンバーを踏襲した。
 プロデュースはエミリオ・カスティリョ、ほぼ全曲の作曲もエミリオが関与してる。それ以外の曲もステファン・"ドク"・カプカや、ハーマン・マシューズ(ds)とニック・ミロ(key)の共作など、完全にメンバー印で作られたアルバム。

 ドラムは若干、大味ながら。ロッコの弾むベースがぐいぐいグルーヴさせ、タワー・オブ・パワーならではの躍動感が出来上がった。充実してToPならではの色合いも濃く、90年代になっての復活劇が見事に消化したのに。残念ながらエピックとの契約は本盤が最後になる。続いてはインディ・レーベルにToPは活動拠点を移した。
 
 ToPは営業バンド的な側面を見せながら生き延びつつも、楽曲やサウンドの現役感は決して薄れない。
 それだけコンセプトと、自分らの音が強固なのだろう。たとえメンバーが次々に変わって行っても。

 グイグイ押すベイエリア・ファンクの側面、メロウなバラード、双方をバランスよく組み立てた。CDサイズの全12曲で1時間越えの長尺ながら、さほどダレずに構成した。
 いわば新曲群でのライブっぽい並び。アップテンポで盛り上げながら、バラード挟んで一休みを繰り返す。(5)でエミリオのボーカル曲を挟んで目先を変えたりもしながら。
 鍵盤もオルガン音色で鳴り、70年代全盛期の生演奏ならではな熱っぽさを90年代後半の分離良いクリアな録音で小気味よく聴かせた。
 そう、97年代のアルバムにもかかわらず、質感や演奏の風景は70年代っぽい。アナクロニズム、懐古趣味と言わば言え。ToPはてらいなく、自らの歴史を振り返って素直に再構築した。
 
 若さならではの溌剌さはない。円熟もしくは老成に向かう落ち着きはある。でも、きっちり仕事をしている。それがアルバム・タイトル"Rhythm and Business"らしいって意味だ。
 もちろんタイトルはR&Bのもじり。しかし本盤では本当に"ビジネス"を意識している。売れ線狙いで流行に魂を売らず、過去のファンの期待も裏切らない。ToPかくあるべしって観客のイメージにばっちり答えつつ、なおかつ新曲群でばっちり決めた。

 本盤は新境地ではない。過去を踏まえながらも、懐メロや自己模倣とも違う「ブランド・イメージの維持」を達成した。
 どの曲もToPらしい、なまめかしい脂っこさがメロディやアレンジに滲んでる。ホーン隊は小気味よくタイトに鳴り、ベースは軽やかに蠢きグルーヴを溢れさせた。
 エレキギターのカッティングやオルガンがリズムに味を添え、深めさせる。

 ToPの最高傑作とは言いづらい。自覚的に自らのブランドに応えたアルバムで、新鮮味のたまものではないからだ。
 しかし本盤はとびきり良い内容である。楽曲群は粒ぞろい。隙無く仕上がった。

 最後にインストで、ブルージーにファンクを決めるカッコよさったらない。ミュージシャン・シップに溢れてる。 


Track list
1. So I Got To Groove
2. Crazy For You
3. East Bay Way
4. Unconditional Love
5. You Do The Math
6. The More You Know
7. Recapture The Magic
7. What's Your Trip?
8. Rhythm & Business
9. Don't Knock Me Down
10. That Was Then And This Is Now
11. It Really Doesn't Matter
12. Spang-A-Dang

Personnel:
Lead Vocals - Brent Carter, Emilio Castillo (tracks: 5)
Backing Vocals - Emilio Castillo, Jeff Tamelier
Bass - Francis Rocco Prestia
Drums - Herman Matthews
Guitar - Jeff Tamelier
Keyboards - Nick Milo
Tenor Saxophone - Emilio Castillo, John Scarpulla
Trombone - Mic Gillette (tracks: 3)
Trumpet - Barry Danielian, Bill Churchville, Mic Gillette (tracks: 7)
Baritone Saxophone - Stephen "Doc" Kupka

Producer - Emilio Castillo

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