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Julian Lennon 「Photograph Smile」(1998)

 緻密ながら作りこみすぎない。雄大で繊細な世界観が素敵な傑作。

 ジュリアン・レノンの5thアルバム。鳴り物入りでデビューしたが、そのあとの活動もそれなりに着実だった。ショーンとは違うかたちで、ジュリアンはきっちりとミュージシャンとして活動を続けている。

 "Valotte"(1984)でデビュー後、数年おきにアルバムをリリース。2ndと4thはゴールド・アルバムを取得するくらいは売り上げていたようだ。
 レーベルはデビュー作のカリスマから、3rdでヴァージンに移籍と安定はしていない。
 本作ではついに、インディでMusic From Another Roomからリリースとなった。Discogsではジュリアンの作品しかカタログが出てこないので、彼の自主レーベルかもしれない。
 本盤のプロデューサーはジュリアン自身とBob Rose。ボブはエンジニアかな?本作の詳しい録音クレジットを理解せず聴いている。
 楽曲はほとんどを共作。相手はアメリカの作曲家Mark Spiroや経歴不明のGreg Darlingなど。ジュリアンは我を張りすぎない。

 しかし仕上がりは極上だ。アコースティックな響きを生かしつつ、鍵盤を上手く使ってシンフォニックな豪華さもそこかしこにあり。豪華一辺倒ではなく、例えば(10)のようにカントリーっぽい乾いたシンプルな曲調も混ぜて、アルバムを一本調子にしない。

 けれどカネの匂いを感じさせない、素朴な雰囲気にまとめた。
 歌唱力はさほどないジュリアンだが、声加工や多重録音を駆使して見事な歌の技を披露した。(2)のサビで、歪んだ小さな声をそっと置く、素敵なアレンジのセンスに唸った。

 滅茶苦茶キャッチーではないけれど、どの楽曲も味わい深い旋律を持っている。
 ジョンに通じる、ちょっと鼻にかかった歌声もキュートで良い。ぎらぎらと才能を振りまかないけれども、聴き重ねるほどに確かなサウンドづくりに惹かれていく。傑作。

Track list
1 Day After Day
2 Cold
3 I Should Have Known
4 How Many Times
5 I Don't Wanna Know
6 Crucified
7 Walls
8 Believe
9 Good To Be Lonely
10 Kiss Beyond The Catcher
11 And She Cries
12 Photograph Smile
13 Faithful
14 Way To Your Heart

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