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Mogwai 「OST:Kin」(2018)

 コンパクトにポップで雄大な、モグワイの世界を描いたサントラ。

 Jonathan/Josh Baker監督のSF映画"Kin"用のサントラで発表された本作は、映画音楽である以上、完全にモグワイの音楽性を反映してはいない。ストーリーにそぐわなければ意味がないから。
 とはいえもちろんモグワイは映画へ媚びていない。聴きやすいポップさと、暗さや実験要素を減らしてダーク・アンビエントながら壮大な風景を描いた。
 ポップと言っても分かりやすいメロディがふんだんに溢れているわけではない。滲むように旋律が溢れ、それがじわじわと展開していく。

 ドラムはどこまで生演奏だろう。打ち込みっぽいビートを生かした曲もあれば、生ドラムふうに響く曲もある。
 基本は重厚かつ神秘的に、そして伸びやかに。激しいビートや急展開は控えつつ、じっくり大きな動きで楽曲を紡いだ。

 打ち込みもしくはポスト・プロダクションでの音色操作を感じさせる箇所があちこちにある。けれどもブラスや弦など外部の要素を入れず、モグワイだけでサウンドを作ったようだ。
 (9)が典型だが、飽和して歪むギリギリまでレベルをぶっこんだ音色づくりが持つ、優美な迫力はさすがの貫禄だ。

 冒頭の鍵盤からして象徴的なように、ギターよりも鍵盤が音像を支配している。もちろん歪んだ轟音ギターが吼える場面もあるけれど。
 映画の内容は知らずに本盤を聴いている。でもスペイシーかつ落ち着いた風景を連想させる本盤の楽曲は、SF映画に似合いそう。激しいバトルシーンっぽいアップな展開は無い。内省的、もしくは広大な静けさにハマりそうだ。

 全9曲で41分。アルバムとしてはコンパクトなLPサイズ。最低でも3分弱、長くても7分程度とSEっぽい小品もむやみな長尺も無い。この辺はモグワイのバランス感覚か。
 明確な起承転結はあまりない。楽曲ごとにアレンジは変えていつつも根本の、切なく広がっていくトーンは共通させた。
 あくまでお仕事として、モグワイの妙味を味わうには良い盤だ。彼らの代表作になるとは言わないが。

 なお最終曲(9)で、いきなり歌モノが始まる。この痛快さはたまらない。ここまで抑えに抑えた緊張が、軽やかに解き放たれた。カタルシスが小気味よい。(9)がエンド・タイトルとあるが、クライマックスを迎えた物語から、エンド・ロールに向かう余韻を明るく高らかに称えるのだろう。この構成は素直にかっこよかった。


Track list
1 Eli's Theme
2 Scraps
3 Flee
4 Funeral Pyre
5 Donuts
6 Miscreants
7 Guns Down
8 Kin
9 We're Not Done (End Title)

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