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Tower of Power 「Monster on a Leash」(1991)

 メジャーに復帰デビュー作。良い曲多数だが、ちょっと肩に力が入った。

 80年代の雌伏を経て、ついにタワー・オブ・パワーはメジャー・レーベル、エピックとの契約を掴む。その後97年までとなるが、改めて表舞台のバックアップを得た。
 結果的に現在に至るまで、ToPは「現役感を保った営業バンド」の地位を盤石にしている。

 本盤でも大幅にメンバー変更が前作"Power"(1986)から行われた。本盤のため、というより前作から本盤に至るドサ回りの間に少しづつ変化していたのかもしれない。

 変わったのはメンバーの半分。残留組はベースのロッコとブラスのカスティリョ、ドク、アダムズ。ソーンバーグ。それだけだ。古株メンバー以外、新顔は総とっかえ。

 リード・ボーカルがEllis HallからTom Bowesへ、ギターがWillie FultonからCarmen Grilloに。ドラムがMick MestekよりRuss McKinnonと。
 鍵盤へNick Miloが新たに参加した。かれはチェスター・トンプソンのようにオルガンでグルーヴを膨らますだけでなく、ホーン隊をシンセのブラス音色で補強する役割まで担った。
 タワー・オブ・パワーの要であるブラス隊も、Richard ElliotからSteve Groveにサックスが交代してる。
 
 プロデュースをカスティリョが仕切った。
 楽曲は(3)(8)(11)(12)以外はカスティリョが作曲クレジットに参加。(3)(8)はギターのグリロ、(11)(12)はアダムズが作曲に関与しており、完全外部の楽曲は存在しない。

 つまりToPは本格的に本盤で、復活をアピールした。
 いきなり(1)からシンセでホーン音色を足すあたり、ToPの売れ線狙いは強固だった。ホーン隊という自分らの持ち味すらにも固執せず、なりふりかまわずヒットを狙う確かな意思を感じる。

 でも売れ線へ完全に軸足を切ったわけではない。例えばカスティリョとドクによる(4)ではオルガン音色の鍵盤が暴れ倒し、ブラスと対比しグルーヴする往年のToP印を明確に提示した。

 メロウでタイトなグルーヴ、が見事に詰まってる。90年代の打ち込みによるジャストなリズムにせず、生演奏のふくよかさを保ったうえで。
 むしろアナクロな方向性ながら、懐古趣味には至っていない。現役感、がびりびりある。完全復活にふさわしいアルバムだ。

 ボーカルのボウズは、ToPの歴史においてはじめてのコーカソイドという。白人マーケットも意識か。そもそも往年のレニー・ウィリアムズからして、あまりコブシを回さないすっきりした歌い方だった。
 従い本盤のボウズの歌声も違和感はない。むしろクールでしたたかなToPのサウンドにお似合いだ。

 アレンジはToPの持ち味を生かしたうえで、色合いは曲ごとに色々試している。

 シンフォニックな(1)で幕開けし、メロウな名曲(2)でいきなりペース・チェンジ。シンセを並列させたToP流ファンクの(3)。耳馴染みなToP節の(4)で自らの歴史は地続きとアピールした。
 (5)はスロー気味のテンポ。色合いはこれまた往年のToP印。

 ここから実験タイムか。
 (6)で当時の流行りな硬いドラム音色に、ニューウェーブっぽいエレキギターを足す、ちょっと突飛なアプローチを取った。しかしこの曲すら、手数多く捲し立てるロッコのベースと、逞しいブラス音色でToP印は崩さない。
 (7)は歯切れ良いブラスが出る一方で、妙にすっきりした音像。ベースを下げてシンセやギターを少しだけ目立たせた。

 さわやかなAORっぽい(8)、スティーリー・ダン風の洗練っぷりな(9)と続ける。タイトル曲の(10)はToP印にシンセを足したハイブリッドな方向性。

 パッド音色のシンセで厳かなバラードな(11)は、アダムズの曲にもかかわらず、外部曲のような穏やかな味わい。いや、アダムズの弦アレンジ力をこの編成で再現と取るべきか。
 
 そしてアルバム最後(12)はToP印を強めながらも、シンセがのっぺりと広がりブラスっぽいフレーズで補強するインスト曲。でも根本はブラスが次々に見えを切る痛快なToPであることは変わらない。
  
 このようにアルバム中盤以降は、あれこれアレンジを弄り実験している。しかし総じてどの曲も、歯切れ良いブラス音色がToPのカバーは崩さない。

 流行を追いすぎず、新鮮味に挑戦しつつ昔のファンもそらさない。絶妙のバランスなアルバムである。

 結果的にToPはシングル・ヒットを本盤だけでなく、これ以降も放っていない。表舞台には出たものの、地味さは変わらなかった。
 とはいえ腐りも落ちぶれもしない。本盤以降も、音楽的には着実な進行を続けた。


Track list
1 Little Knowledge (Is A Dangerous Thing) 4:24
2 How Could This Happen To Me 4:10
3 Who Do You Think You Are 4:22
4 Attitude Dance 5:36
5 You Can't Fall Up (You Just Fall Down) 4:55
6 Funk The Dumb Stuff 5:27
7 Believe It 4:35
8 Personal Possessions 5:06
9 Miss Trouble (Got A Lot Of Nerve) 4:45
10 Keep Your Monster On A Leash 4:33
11 Someone New 4:28
12 Mr. Toad's Wild Ride 5:26

Personnel:
Tom Bowes: lead vocals
Carmen Grillo: guitar, vocals
Francis Rocco Prestia: bass
Russ McKinnon: drums, percussion
Nick Milo: keyboards.
Steve Grove: alto & tenor saxophone
Emilio Castillo: tenor saxophone, lead vocals on "Funk The Dumb Stuff"
Stephen 'Doc' Kupka: baritone saxophone
Greg Adams: trumpet, flugelhorn, vocals
Lee Thornburg: trumpet, flugelhorn, trombone, lead vocals on "Keep Your Monster on a Leash"

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