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Peter Gallway 「Rhythm & Blues」(2007)

 苦味が滲む。老成した苦しみをポップスに込めた。

 フィフス・アベニュー・バンド、オハイオ・ノックスを経てソロ活動を始めたピーター・ゴールウェイが07年に出した8thソロ。
 本盤は英Crooked Coveからのリリースだが、本盤以降はたぶん自主レーベルのGallway Bay Musicから発売している。
 今も配給にCD babyやi-Tunesなどを使って、インディかつ地に足の着いた活動を続けているようだ。

 "Rhythm & Blues"と題された本盤だが、類型さやリズミックなアプローチではない。静かに、しっとりと緩やかなテンポで歌う。
 声域を低くして、暗めの世界観な印象を受けた。リズム隊が入る曲があるにもかかわらず、全体的な雰囲気はアコギの弾き語り。
 オブリを弾くLarry John McNallyのエレキギターが、ねっとりと曲を彩った。

 複雑かつ都会的なポップスって思いこみをピーターには描いていたが、本盤では爽やかさは控えてじっくりと曲を紡ぐ。
 和音の華やかな曲調もあるが敢えてムードを押さえつけて、安易な解放感には向かわない。例えば(8)。ふくよかなポップスへ仕上がるのに、エレキギターと乾いたリズムでふたをして、雰囲気を鈍くモノトーンに抑えた。

 和音感で特にしびれたのが(4)。楽典的に説明でき何だが、滲み歪む和音の響きは、むしろ前衛的に向かう。ブルージーさを加味して奇妙な味わいにした。世界へ矛盾や恨みつらみを嘆くかのように。

 "リズム&ブルーズ"と銘打ち前面に出されると、むしろ類型的な世界観を連想する。ありふれたコード進行、決まりきったアレンジの世界観ってふうに。
 けれども本盤ではブルージーさはそこかしこにあるものの、あまり鍵盤で飾らずモノトーンの風合いではあるものの、楽想や和音の響きは多彩だ。

 地味なアルバムではある。過去作とも流れがズレて、内省さや埃っぽさを増し都会的とは真逆の方向に向かった。
 けれども味わい深さが、何度も聴きたくなる魅力だ。シンプルな楽器編成を効果的に使い、奥行き深いアルバムを作った。曲調も、実にさまざま。アルバム全体の統一感はむしろ無いくらい。モノトーンの中で、多様な輝きをそれぞれの楽曲が醸し出した。

Track list
1 Rhythm And Blues
2 Deep Breathing
3 We Were Meant To Be Lost
4 Man Enough To Lie
5 Try More Love
6 Jamaica Knows
7 Red
8 She's Just Moving On
9 Wind Is The Worst Weather
10 Ghost Who Dreams

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