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Neutral Milk Hotel 「On Avery Island」(1995)

 ポップさを荒っぽく充満する録音で、サイケにまとめたデビュー・アルバム。

 エレファント6勢として2nd"In the Aeroplane over the Sea"(1998)にて名を残したわりに、音盤ではいがいとリリースが少ないニュートラル・ミルク・ホテル。アナログのシングルに拘ったらしく、細かいリリースはいくつかあるけれど。

 そもそもはオリヴィア・トレマー・コントロールに参加してたジェフ・マンガムのソロ・ユニットとして80年代後半に活動を開始。91年からデモをいくつか発表したあと、94年にEP"Everything Is" (1994)を出した。
 続いてアップルズ・イン・ステレオのロバート・シュナイダーにプロデュースを任せて作ったのが、本盤になる。
 そしてメンバーを集め、バンド形式に変更してリリースが2nd"In the Aeroplane over the Sea"(1998)だ。
 
 しかしフル・アルバムは"In the Aeroplane over the Sea"で終わり。翌99年にはニュートラル・ミルク・ホテルでの活動は止まってしまう。
 2011年にEP"Ferris Wheel on Fire" (2011)やシングルを発表で再稼働。2013年にはライブ活動も再開したが、2015年にまたも活動が終了して今に至る。
 ジェフ・マンガムの今の活動状況は、ちょっと調べたけど分からなかった。

 さて、本盤。一聴で感じるのは、ラフな録音。高音が潰れて充満し、低音も割れまくり。やたらローファイな響きは、レベルを思い切りアナログ・テープへ突っ込んで録ったかのよう。クレジットにはロバートが4chデッキで録音とある。エレファント6のスタジオと、関係者の宅録で製作らしい。

 演奏はほぼジェフの多重録音。ロバートも鍵盤を中心にあれこれダビングしてる。
 数人のゲストはいるものの、基本はこの二人で製作した。
 (5)が94年6月、他は95年2-5月の録音。過去のデモや前EP"Everything Is"の曲は未収録だった。後の再発では、このEP盤の曲もボーナス収録されているが。

 たぶん確信犯でロバートは本盤の音像をラフに作ったのだろう。それが惜しい。ジェフの作るメロディは素朴な一方で、甘く響く。
 フォークの要素が素地にあり、基本はアコギ一本の弾き語りでも成立しそう。じんわりと切ない要素がメロディから漂う。開放感より内省さが強い。
 実験的な旋律やアレンジのこねくり回しはあまりなく、素直な音楽がジェフの身上に思える。エレファント6勢として、ひねった音使いが好みだったとしても。

 ざらついて歪み、飽和した本盤の音源は奇妙なサイケ・ポップな風情だ。ときおりエスニックな香り漂うのは、ヒヨヒヨしたシンセの音色などが一役買う。ロバートの仕業じゃないかな。
 きちんとした音で録音しても、本盤ほどのインパクトある音にはならずとも良質のSSW盤にはなったと思う。ロバートの勇み足、と敢えて言いたい。
 
 最終曲は13分にもわたる。中盤以降はドローンっぽい音像が延々と続いた。安っぽく壊れそうだが、完全なノイズにまでは向かわない。前衛とポップのはざまを、ざらごろと残響とノイズが絡みながらミニマル交じりに続いていく。
 アルバム全体の流れで行くと、この唐突かつ実験的なアプローチはいかにも場違い。
 でも総じてラフな録音のため、これはこれでありかと納得させる作品作りにはなっている。プロデュースに当たり、ロバートの視点はブレていない。
 
Track list
1 Song Against Sex 3:40
2 You've Passed 2:53
3 Someone Is Waiting 2:31
4 A Baby For Pree 1:21
5 Marching Theme 2:58
6 Where You'll Find Me Now 4:04
7 Avery Island / April 1st 1:48
8 Gardenhead / Leave Me Alone 3:13
9 Three Peaches 4:01
10 Naomi 4:53
11 April 8th 2:47
12 Pree-Sisters Swallowing A Donkey's Eye 13:49

Personnel:
Jeff Mangum - guitar, drums, vocals, bells, xylophone, air organ, keyboards, tapes, cover design
Robert Schneider - air organs, home organs, fuzz bass, xylophone, horn arrangements
Lisa Janssen - fuzz bass on tracks 2 and 8
Rick Benjamin - trombone on tracks 1, 7, 8
Track 12 features Marisa Bissinger, Hilarie Sidney, Zachary DeMichele, Dane Terry, Lisa Janssen, Aaron Reedy, and Jeff Mangum performing various Indonesian instruments.

Recorded at Elephant 6 and Dane and Marisa's house Feb - May, 1995 except "Marching Theme" which occured in June of 1994.
Produced by Robert Schneider on 4-Track.

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