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Sam Prekop 「Who's Your New Professor」(2005)

 ふんわりと弾む即興を生かしたポップスに、ポスト・ジャズの意味を知る。

 シー&ケイクのボーカル/ギターのサム・プレコップが"Sam Prekop"(1999)に次ぎ6年ぶりに発表したソロ・アルバム。
 "One Bedroom"(2003)と"Everybody"(2007)と、シー&ケイクが活動の谷間にリリースした。

 前作はシー&ケイクと違う色を出すためか、ジム・オルークにプロデュースを任せたが、本盤はシー&ケイク寄り。

 ギターとピアノはアーチャー・プレウィット、録音にミックス、およびパーカッションにジョン・マッケンタイアとシー&ケイク勢が揃った。
 一方で他のメンバーはシカゴのジャズメンたち。ドラムはチャド・テイラーで、Chicago Underground Duoにてチャドの相方なロブ・マズレクもコルネットで参加した。
 ベースはヨシュア・エイブラムス。さりげなくシカゴで先鋭ジャズの顔触れがそろった。

 前作にもプレウィットやマッケンタイアが参加しており、マズレクやエイブラムス、チャドも前作から引き続きの顔触れ。
 つまり前作と今作で大きなメンバーの違いはジム・オルークがいるかどうか、だけ。
 プレコップが前作の出来栄えに、不満足なわけではあるまい。あえてシー&ケイクから離れるよりも、シー&ケイクと自分の色の距離感を、もっと素直にプレコップは本盤で描いてみたかったのでは。オルークという奇才の力を借りずに。
 なお本作以降のプレコップは、ソロでさらに定型ポップスからも離れていく。

 インターネットのレビューを見ると、シー&ケイクにポスト・ジャズの形容を見かけるが、正直ピンとこなかった。もっとロック寄りに聴こえてしまってたため。
 だが本盤のようなメンバー構成と、アドリブを生かしたアレンジを聴くとポスト・ジャズって呼ばれる理由がよくわかった。

 別に一発録音ではない。コルネットのダビングはあるし、根本的にはポップスの構造だ。けれどもミニマルなフレージングに留まらず、ポップス的な伴奏の枠にも収まらない、バッキングの演奏がはみ出すところ。そんなあたりを聴いてると、ジャズ要素って言われるのがピンときた。

 シー&ケイク同様に、甘く細いプレコップの歌声が本盤の主役。全10曲で40分弱と短いアルバムであり、別にメンバーのソロ回しを強調ではない。
 メインを張るのはプレコップによる、ポップス。だが周辺を穏やかなジャズが固めた。

 もろにジャズっぽいスイングやグルーヴ感は控えめ。シカゴ流なのか硬質で静かな演奏が、伴奏って枠からところどころはみ出す。
 そう、お行儀よく伴奏に留まらない。時々滲むセッションぽさが、本盤にシー&ケイクとは異なったノリと躍動感を表現した。

Track list
1 Something
2 Magic Step
3 Dot Eye
4 Two Dedications
5 Chicago People
6 Little Bridges
7 A Splendid Hollow
8 C + F
9 Neighbor To Neighbor
10 Density
11 Between Outside
 
Personnel:
Vocals, Guitar, Piano – Sam Prekop
Cornet – Rob Mazurek
Drums – Chad Taylor
Guitar, Piano – Archer Prewitt
Piano [Acoustic], Acoustic Bass, Electric Bass, Electric Piano – Joshua Abrams
Recorded By – Tim Iseler
Recorded By, Mixed By – John McEntire
Synthesizer, Percussion – John McEntire

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