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Ornette Coleman 「Something Else!!!!」(1958)

 じわじわ耳に馴染む、強烈にスインギーなビッグバンド風のジャズ。

 フリージャズの始祖って印象すらある、オーネット・コールマンのデビュー・アルバム。冒頭の甘いピッチとテーマが進むなり拍足らず風になる変拍子っぽい楽曲とあいまって、本盤の第一印象は前衛的に聴こえる。
 だが繰り返し聴くにつれ、強くまっすぐなシンバルの刻みと骨太なベースが生み出す、柔軟なグルーヴはしごくまっとうに感じてきた。

 たしかにアルトのピッチは甲高い。しかしそれは敢えてズラすのでなく、単にチューニングが甘いだけに聴こえてくる。いや、それが敢えて、なのかな。 
 ドン・チェリーが併せてるのか、吹いてるうちにアンブシュアでオーネットが揃えてるのか。吸い付くように二管が疾走する場面もしばしば。

 後年のハーモロディクスを提唱した盤のような調子っぱずれさと、同時進行なアンサンブルの萌芽が既に本盤で聴けると同時に、本盤ではしごくまっとうなジャズを行っている。
 
 ピアノがいる編成のせいか。だがミックス・バランスはピアノが小さめ。あくまでもドラムとベースが前に出ている。
 いずれにせよ二管が絡み合って和音感を出し、スピーディに疾走した。のちにジョン・ゾーンがマサダで体現する、自由なジャズのスタイルをオーネットは明瞭に本盤で示している。

 全9曲、全てオーネットのオリジナル。間を置いて3日間で3曲づつ、完パケ・テイクを作って本盤は出来た。マスターが無いのか、どうやらアウトテイクはないようだ。
 一夜でセッションして、はい出来上がりってスタイルを取らずにデビュー盤から録音を重ねるあたり、オーネットには自分の個性が明確に見えていたのだろう。

 テンポや雰囲気はまちまちだが、本盤のサウンドはぶれない。情感あるテーマは硬質な肌触り。
 ラテン的な(3)(9)、ビバップを連想する(4)(7)、スイングっぽい(6)(8)、ハードバップ風(2)などいろんな要素を入れながら、(1)や(5)みたいにスピーディで少しヘンテコなムードの楽曲と自然に馴染んでいる。

 寛ぎの要素はかなり抑えめ。猛烈にリズミカルだが、ダンス音楽とも違う。心からあふれる熱狂を、知性でがっしり抑え込んだ。それも理詰めでなく、独自の論理体系で。
 しかしオーネットはすべてを統制しきれていない。サイドメンは既存のジャズを踏まえて、折衷的にオーネットの世界を描いている。
 
 だからこそ本盤は、ビッグバンド風の一体感とスケールの大きさを産んだ。音数はクインテット。けれどピアノが静かに底支えして、アンサンブルの雄大さを示した。
 本盤はアドリブの妙味、特にオーネットのフレーズ使いにも惹かれるが、根本的な魅力はそこでは無い。

 本盤の魅力はテーマ部分、バンドが一丸となって演奏する瞬間のスリルだ。オーネットの奔放なキャリアは、華々しくも着実に本盤から始まった。

Track list
1 Invisible 4:11
2 The Blessing 4:45
3 Jayne 7:17
4 Chippie 5:37
5 The Disguise 2:46
6 Angel Voice 4:19
7 Alpha 4:09
8 When Will The Blues Leave? 4:58
9 The Sphinx 4:13

Personnel:
Ornette Coleman - alto saxophone
Don Cherry - cornet
Walter Norris - piano
Don Payne - double bass
Billy Higgins - drums

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