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Isley Brothers 「This Old Heart of Mine」(1965)

 二線級扱いされた難しい立ち位置のアルバム。

 モータウンに移籍したアイズリー・ブラザーズは、ヒットを飛ばせたものの安住の地にならなかった。生粋のデトロイト育ちでないと疎まれたという。妬み嫉みはわからないでもない。けれど商売として商品に力を尽くさず、手を抜くって発想が分からない。
 本盤を作ったとき、すでにモータウンの製作陣は手心加えて制作をしていたのだろうか。

 実際に隔意を持っていたとして、本盤の出来は今一つ煮え切らない。とりあえず当時のアイズリーはバラードよりアップだったはず。元気良くシャウトするパワフルさが味として評価してたならば、本盤の構成はいかにも中途半端だ。

 歯切れ悪く聴かざるを得ない。楽曲や出来に罪は無いとしても、どこかチグハグなアルバムだ。
 (3)が最大のヒット曲。(4)(5)が続くシングルつるべ打ちの構成を取った。
 それぞれのB面が(11)(7)(9)になる。

 (3)が1月に発表、本盤は同年5月。本盤とシングルの製作は並行だったろうから、アルバムの選曲は確信犯だろう。
 ほぼ全曲がホランド=ドジャー=ホランド作で、パンチ力あるアイズリーの魅力には似合いの色を狙ったはず。
 けれど(1)がマーサ&ヴァンデラス、(2)(9)がシュープリームスと女性的なイメージが植え付けられる。(6)はマーヴィン・ゲイの焼き直し。
 (8)はエルジンズに提供するもヒットせず、シュープリームスと並行してアイズリーがカバーした。

 なんとも工業製品的におざなりな編成だ。女性曲を歌わせてしなやかな都会的なイメージをアイズリーに植え付けたかったのか。
 演奏はファンク・ブラザーズだし、勢い合ったH=D=Hチームの作曲と好意的に評価は出来なくもない。しかしもどかしさは残る。

 予備知識とアイズリーへの期待が邪魔になるアルバムだ。滑らかな歌声を素直に楽しみたい一方で、釈然としない思いが残る。余計な躊躇いやもどかしさは消して、モータウン・サウンドのお仕着せを無邪気に楽しんで聴こう。
 キメラめいた魅力が逆に皮肉な面白みを滲ませたモータウンの次作より、作りがストレートな分だけ半端感が強い。
 

Track list
1 Nowhere To Run
2 Stop! In The Name Of Love
3 This Old Heart Of Mine (Is Weak For You)
4 Take Some Time Out For Love
5 I Guess I'll Always Love You
6 Baby Don't You Do It
7 Who Could Ever Doubt My Love
8 Put Yourself In My Place
9 I Hear A Symphony
10 Just Ain't Enough Love
11 There's No Love Left
12 Seek And You Shall Find

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