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Eddi Reader 「Candyfloss and Medicine」(1996)

 ほの暗い物語性を強調しつつ、自作を大切に扱った。

 "Eddi Reader"(1994)から約2年。エディ・リーダーは前作にも参加したTeddy Borowieckiを共同プロデューサーに仕立てた。冒頭曲からペニー・ホイッスルを挿入したりと、ケルト風味を出してきてる。録音はロンドン。

 英盤と米盤は収録曲も曲数も違う。英盤では(2)でディミトリ・ティオムキンの作曲でジーン・ピットニーが61年に吹きこんだカバー曲に繋がる。
 何となく退廃的な雰囲気で、本盤のイメージが途端に妖しくしたたかな物語性を持つのだけれど。米盤シーケンスで聴くと、大きくアルバムの印象が変わる。
 
 具体的には米盤は(4)"Sugar on the Pill"、(7)"If You Got a Minute, Baby"、(9)"Shall I Be Mother?"が入り、前述の(2)"Town Without Pity"が落とされた。イギリスではシングル・カットもされたコンセプト的に重要な曲にも関わらず。

 英と米盤では、曲順もかなり異なる。
 英盤のデカダニズムが持つ物語性を消して、よりポップ・アルバムに仕上げたのが米盤。良し悪しでいうと、ぼくは英盤を押す。リアルタイムで聴いた思い出補正が入ってるが。損得で言うと、米盤のほうが曲が多くていいや、って価値観がある感も知れないが・・・。

 だからここでは英盤の観点で感想を書いている。
 収録曲は前述のカバー(2)に加え、(7)もトラッドのカバー。あとはオリジナルで、全て連名だがエディが全曲にクレジットされている。歌手から創作者へ、深く一歩踏み込んだ。
 ミュージシャンは前作に続きブー・ヒューワディンの名があり。楽曲でも(3,5,6,8,9)と多くの曲に参加。数年前のシングル"Wonderful lie"(1993)の縁は続いていた。
 実際、ブーは続くエディのソロ"Angels & Electricity"(1998)で共同プロデュースを務めることになる。

 本盤のミュージシャンは昔なじみなところでロイ・ドッズが継続参加。マーク・ネヴィンは袂を分かった。David Piltchもカナダ人だが本盤でも弾いている。
 あとは英国人ばかりかな。ルーツを見直して、売れ線へ安易に乗らずエディは等身大の自分を芝居っ気を混ぜて表現した。

 たぶん前作は全英4位と好セールスを叩き出しつつも、作り物すぎって違和感をエディは覚えたのでは。本作はきっちりプロデュースと制作をされながらも、弦やブラスを柔らかく入れて、もっとトラッド寄りの穏やかでアコースティックな雰囲気を強調した。

 華やかさ、もしくは凛とした生真面目さは減じた。うっすらと残響による幻想性をまとい、エディは本盤で孤高の風景に佇んでいる。
 開放的かつ整った環境で観客を周りに並べるのでなく、自らの少し陰った場末のキャバレーみたいに芝居仕立ての小宇宙へ興味あるもののみ誘うかように。


Track list
1 Glasgow Star 4:51
2 Town Without Pity 2:49
3 Medicine 4:12
4 Rebel Angel 4:43
5 Semi Precious 3:21
6 Lazy Heart 5:25
7 I Loved A Lad 5:01
8 Butterfly Jar 5:33
9 Candyfloss 3:23
10 Darkhouse 5:30

Personnel:
Eddi Reader - vocals, concertina, harmonica, piano
Boo Hewerdine - acoustic and electric guitars
Teddy Borowiecki - keyboards, guitar, bass, accordion, melodica, percussion
Roy Dodds - drums, percussion, hand claps, loop drumming
Calum MacColl - acoustic and electric guitars, bowed guitar, dulcimer, penny-whistle, zither
David Piltch - electric and acoustic bass
Bernard Butler - electric guitar
Dominic Miller - electric nylon guitar
Anthony Thistlethwaite - mandolin
The Electra Strings - strings
Kat Evans - fiddle, electric violin
Sid Gauld - trumpet
Richard Sidwell - trumpet
Michael Smith - tenor horn
Annie Whitehead - trombone
Martin Green - soprano saxophone
Misses La La - backing vocals

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