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Eddi Reader 「Eddi Reader」(1994)

 凛として過去とバンドに決別を図ったような一枚。

 ソロ・デビュー"Mirmama"(1991)から数年。シングルはぽつぽつ発表されるも、なんだか鳴かず飛ばずなエディ・リーダーだった。結局、この1枚のみでRCAと契約が終わったらしい。
 ぼくがたまたまレコード屋でシングルを見つけた時は嬉しかった。
 それがインディのHeavenから発売の、"Wonderful Lie"(1993)。Eddi Reader, Clive Gregson, Boo Hewerdineの共同名義だった。この時点でエディはソロで活動にまで踏み切れていなかったのか。まだバンド活動の幻想をもっていたのでは。

 直後のアルバム・リリースを期待したが、まだ待たされる。翌年に本盤がWEA傘下のBlanco Y Negro発売された。結局このレーベルには数年在籍し、あるていどは地に足がついた活動を行うことになる。

 シングル"Wonderful Lie"の併収な2曲"Last Night I Dreamt That Somebody Loved Me"(スミスのカバー)、"Who's Your Jailer Now?"は本盤に収録されず。シングルB面がアルバム未収録はイギリス的なビジネスだとありがちなので、特に不思議でもないけれど。逆にむしろレコード会社をまたいでまで、"Wonderful Lie"を入れるところに、エディの主張を感じる。

 元バイブルのブー、元エニイ・トラブルのクライヴ。エディと接点がなさそうで意外な顔ぶれながら、逆にミスマッチな空気も出そうだったのに。
 エディはこの世界をアッサリ終わらせて、本盤でウーマン・リブ的な繊細かつ凛とした雰囲気を身にまとった。
 1stソロのバンドThe Patron Saints Of Imperfectionは、ロイ・ドッズ以外影も形もない。フェアグラウンド・アトラクション時代からの盟友として、逆にロイはずっとエディを支えてたのだろう。

 本盤のプロデュースはGreg Penny。k.d. lang"Ingenue"を作った。この路線をエディもしくはレコード会社は狙ったと思われる。
 バスキングの埃っぽさ、英トラッドの渋さを拭い去り、洗練されたAORなポップ路線に。なおかつ前作の電気仕掛けも少し主張を下げて、アコースティックさを強調した。

 結果的に、この路線は大成功だった。瑞々しいエディの魅力が本盤で炸裂してる。トラッド要素と言うエディの本質を突かなかっただけに、長続きはしなかったけれど。

 予備知識なしで本盤を聴いたら、しなやかで瑞々しいエディの歌声にとことん惹かれる。特に多重ボーカルでの甘く透き通った響きは格別だ。
 
 収録曲はオリジナルが並ぶ。ブーが作曲に関与は(2,4,6,11,12)と多い。しかし録音クレジットにブーの名はない。前シングル、もしくはアルバムづくりでののアウトテイクだろう。シングル発表後に活動しかけて頓挫が伺える。名曲ぞろいなのに、惜しかった。

 他の収録曲は、フェアグラウンド・アトラクション時代のMark Nevinが目立つ。(1,3,7,10)が彼の曲。本盤でマークはギターを弾いており、書き下ろし曲かもしれない。
けれども、フェアグラウンドに決別を図るエディの主張とも読める。

 彼ら二人が曲提供しており、エディの自作は控えめ。共作も含めたら(4,5,8,9,10,11,12)になる。・・・けっこうあるか。クレジットを眺めてると、ブーやマークが単独作を提供のため、いがいとエディの色が薄く見えてしまった。

 録音はカリフォルニア。ただしベンチュラ郡Ojaiと、人口7,500人ほどの穏やかだがこじんまりした街で録音された。
 k.d. langの録音にも参加したTeddy Borowiecki、他はディーン・パークスなどスタジオ・ミュージシャンで固めた。
 フェアグラウンド時代からはロイとマークが加わる。新しい顔ぶれと昔なじみ。双方の要素に挟まれながら、エディはのびのび歌う。

 メロディの確かさもさることながら、この時代のエディは本当に喉が涼やかだ。まっすぐ柔らかく歌い上げる可愛らしさに惹かれる。
 たとえば(2)。ファルセット気味な音域を行き来しながら、ダイナミクスを喉で操り、滑らかにニュアンスを表現する。素晴らしい。

 エディのソロ入門編には本盤がぴったりだと思う。このあと、だんだんエディは自らの趣味と英トラッドとの混淆や融合、昇華を表現するために、エンターテイメントとナイーブな自我の落としどころを模索しながら、深い音楽の森を逞しく進んでいく。

 

Track list
1 The Right Place 4:52
2 Patience Of Angels 4:04
3 Dear John 4:08
4 Scarecrow 3:31
5 East Of Us 4:31
6 Joke (I'm Laughing) 3:44
7 The Exception 4:26
8 Red Face Big Sky 4:10
9 Howling In Ojai 1:28
10 When I Watch You Sleeping 4:37
11 Wonderful Lie 4:32
12 Siren 5:09

Personnel:
Eddi Reader - vocals, backing vocals, tambourine
Teddy Borowiecki - keyboards, accordion, guitar
Dean Parks - guitars, guitar percussion
David Piltch - bass
Curt Bisquera - drums, percussion
Roy Dodds - drums
Mark E. Nevin - guitars
Greg Penny - percussion
John Ingoldsby - backing vocals
Katia Lempkowicz - backing vocals

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