FC2ブログ

DÉ DÉ MOUSE 「Be Yourself」(2018)

 多幸感って言葉がふさわしい、シンセが派手に鳴り続けるポップ・アルバム。

 遠藤大介のソロ・ユニットでサンプリング・ボイスの断片をつなぎ合わせる独特な手法が特徴なデ・デ・マウスの7thが出た。アニメ的なジャケットを眺めながら聴くと、超ポップな4つ打ちEDMが滑り出す。

 全編が4つ打ちに拘っていないが、根本のアッパーなクラブ・ミュージックなノリは通底してる。断片が混ざり合う、奇妙で妖しいボーカル・トラックの背後に鳴り響くのは、やたら分厚いシンフォニックなシンセサイザー。
 こういう強引で一本調子なエレクトロ・ポップは苦手なはずなのに。本盤は聴き入ってしまう。

 のっぺりしたシンセが産む無機質な音色は、打ち鳴らされるビートに載ってひたすら疾走した。
 たぶんこれがリズム・ボックス流しっぱなしだと、ぼくは飽きてしまったろう。
 本盤の音楽はシンプルに見せかけて、細かく手が込んでいる。ビートは切り刻まれ、単なるパターン・ミュージックではない。
 ダイナミクスはフォルテシモ一本槍。ほぼメリハリ無く、強打で突き進む。サウンドのバランスや音数で起伏をつけて、ブレイクを入れまくった。

 本盤は家で密やかに聴くのは似合わない。大音量のクラブで聴くか、屋外リゾートで聴くか。非日常の多幸感こそ似合う。たぶん安っぽいスピーカーで割れまくった音質でも成立するし、特定周波数を強調したミックスでもハマる。
 けれども雑な音楽ではない。繊細な環境のステレオでも十二分に楽しめる。ただ、どんどんとボリュームを上げたくなるだけだ。もっともっと、パワフルにこのビートを浴びたくて。

 和製R&B、テクノ、ユーロビート、エレクトロ・ポップ。さまざまなキーワードが頭を飛び交い、そして細切れのボーカルに頭をかき混ぜられる。
 穏やかな寛ぎ気分は、けたたましい電子音のテンションで一気に持ち上げられた。

 デジタル・シンセののっぺりした硬質な音色は、疲れた耳には堪える。正直、この音楽は疲れた気持ちを癒すのとは、少し違う。もっと激しく背中を押して立ち上がらせるベクトルだ。
 ぼくはこの音楽を浴びて踊り出すほど、若く無くなってしまった。しかし本盤を楽しめる感性はまだ、残ってたみたい。
 ぐしゃぐしゃに混ざって意味性が解体した抽象的なボーカル・トラックが、機械仕掛けの音像を刺激的にかき混ぜる。
 シラフなのにアッパーな雰囲気に心かき乱された。そう、これは悪い気分じゃない。

Track list
1.be yourself
2.love destination
3.charmed
4.back to love
5.don't stop the dance
6.lonely if
7.scat n' shout
8.next to you
9.flush
10.baby I love you

関連記事

コメント

非公開コメント