FC2ブログ

Al Green 「I'm Still in Love with You」(1972)

 二番煎じ気味だが、カントリー要素も混ぜてまっすぐなノリを導入した。

 大ヒットした"Let's Stay Together"を受けた本盤は、似たようなタッチの"I'm Still in Love with You"で幕を開けた。
 ファルセットを駆使したなまめかしくも線の細い歌声で静かに歌う。
 ホーン隊などが粘らず、きっちりと刻んでジャストなリズムを狙うセンスが妙に新鮮だ。

 ちなみに「エマニエル夫人」の映画は1974年と本盤の二年あと。別にジャケットはそれのパロディではない。

 グルーヴィさを曲によっては聴かせるけれど、むしろ本盤では着実にビートを提示するドラムが目立ってる感じ。テンポが緩やかでファンキーさは強調されないが、JBに通じるノリをにおわす一方で、カントリーの生真面目な要素が混ざっている。
 とはいえ本盤にはドラマーが三人参加しており、決してアレンジのバターンに共通性はないけれど。

 ただ、本盤を聴いてると後年のニュー・ソウルに通じる理知的な佇まいを感じる。
 アルバム構成は黒人の地位向上よりは、むしろ白人音楽文化に寄った。なにせこれまでのアル・グリーンの定番である、B面トップのカバー曲にロイ・オービソン、B2にはクリス・クリストファーソンだ。ぐっと、カントリーに接近した。
 B1はロイの凄みが消えて、妙に気弱げもしくは優男風に軽やかなムードでカバーした。
 原曲の魅力とか再解釈の有効度などを、あまり気にしてるように思えない。とりあえず本盤のアレンジを当てはめてみたって荒っぽさがあり。ヒット曲をカバーで観客の関心を引けばいいって大ざっぱさだ。

 A1でしなやかなソウルさを狙う一方で、バランスを取るようにカントリーの生真面目さも。別に白人だ黒人だと意識せず、当時のメンフィスでは双方が並列で流れて親しんでいたのかもしれないが。

 とにかくずぶずぶに粘っこさを狙わず、すっきりと明瞭な世界を本盤は描いた。特にA面の流れが滑らかだ。その統一性が、本盤の完成度を結果的に高めている。


Track list
A1 I'm Still In Love With You 3:12
A2 I'm Glad You're Mine 2:54
A3 Love And Happiness 5:00
A4 What A Wonderful Thing Love Is 3:37
A5 Simply Beautiful 4:08
B1 Oh, Pretty Woman 3:22
B2 For The Good Times 6:27
B3 Look What You Done For Me 3:04
B4 One Of These Good Old Days 3:15

Personnel:
Al Green – lead vocals

Charles Chalmers – arranger, horn arrangements, string arrangements, background vocals

Howard Grimes – drums, rhythm section
Jack Hale, Sr. – horn section, trombone
Charles Hodges – drums, organ, piano
Leroy Hodges – bass
Mabon "Teenie" Hodges – guitar
Al Jackson Jr. – drums
Ali Muhammed Jackson – drums

Wayne Jackson – horn section, trumpet
Ed Logan – tenor horn, tenor saxophone
Andrew Love – tenor horn, tenor saxophone
James Mitchell – string and horn arrangements, tenor horn, baritone saxophone

Willie Mitchell – engineer, producer
Donna Rhodes – background vocals
Sandra Rhodes – background vocals
Sandra Chalmers – background vocals

関連記事

コメント

非公開コメント