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Impressions 「Ridin' High」(1966)

 地味だがカーティス節が全編に噴出した、静かな力が滲むアルバム。

 ディスコグラフィによれば、インプレッションズはオリジナリティあふれる傑作"People Get Ready"(1965)を65年2月に発表後、いきなり失速と言うかおざなりなアルバム・リリースが始まる。同年にベスト盤"Greatest Hits"とカバー集"One by One"を発売した。
 "People Get Ready"でカーティス・メイフィールドが一瞬、虚脱してしまったのか。

 シングルのディスコグラフィを見ると、アルバム未収録も含めてあれこれリリースしている。ここらへん、配信音源でいい加減な聴いてると当時の立ち位置がはっきりしない。きちんと原盤にあたったら見えてくるもの、わかるものがありそうだ。
 配信だとA6は"I Need A Love"でなく、当時のシングル"I need you"が入ってるし。

 "People Get Ready"を受けて売りまくろう、とレーベル側がLPを粗製乱造な一方で、シングルや本盤の準備でカーティスは着々と創造性を深めていたのかもしれない。

 本盤は"One by One"に続くアルバムで、ほぼすべてがカーティスのオリジナル曲。メロディがカーティス節そのもので、率直に言うと過去曲と似たような感じの節回しが続く。
 ただしやっつけに感じないのは、贔屓倒しか。そんなことは無いと信じたい。

 かっちりコンボ編成で演奏を固めて、弦やブラスで飾ったクールでスマートなシカゴ・ソウルを味わえる。線の細いカーティスの歌声も、他のメンバーが補って捩られるロープのように、しなやかで柔軟な歌声を作った。

 基本はリフ一発。あとは歌い方やアレンジの妙味で聴かせる。
 エヴァリー・ブラザーズのレパートリーってイメージが強いジルベール・ベコーの曲"Let It Be Me"のカバーは、大きな違和感なくアルバムに収まった。
 ちょっと調べてたら、本盤の前年に過去にインプレッションズのボーカルだったジェリー・バトラーがベティ・エヴェレットとのデュオで、全米5位のヒットを飛ばしていた。
 それの対抗心で本曲をカーティスも取り上げていたりして。インプレッションズの本テイクは、やたらゴージャスなムードで緩やかなテンポを採用した。

 派手な曲や目立ったヒット曲が未収録のため、本盤の印象は大人しい。静かなトーンが漂う。トータル・アルバム的なストーリー性も無い。楽曲の雰囲気が近しいため、結果的に統一性を持っているが。
 とはいえ収められた楽曲群は、しみじみと耳に優しく滑り込む。聴き逃すには惜しい作品だ。


Track list
A1 Ridin' High 2:25
A2 No One Else 2:37
A3 Gotta Get Away 2:28
A4 I Need To Belong To Someone 3:25
A5 Right On Time 2:43
A6 I Need A Love 2:25
B1 Too Slow 2:44
B2 Man's Temptation 4:45
B3 That's What Mama Say 2:34
B4 Let It Be Me 3:02
B5 I'm A Tellin' You 2:41

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