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Impressions 「Preacher Man」(1973)

 メンバー交代の端境期が産んだ、ユニークなトータル・アルバム。

 リロイ・ハドソンがソロ活動のため脱退した時期のアルバム。Sam GoodenとFred Cashしか残らぬインプレッションズは、それでもスタジオに入った。
 プロデューサー兼作曲家として本盤の製作を仕切ったのは、当時のカーティス・メイフィールドのスタッフとして活動したリチャード・トゥーフォ。彼の色がとても強く出たアルバムに聴こえる。

 スリリングなストリングスをかぶせて、ハイハットが規則正しく刻むグルーヴ。ギターが彩りを添えた。ニュー・ソウルの色合いがぷんぷんするサウンドが全編を覆う。
 さらにA1では最後まで歌声が入らなかったり、楽曲モチーフが複数曲をまたがったりと個々の作品集ではなく、アルバム全体の統一感を強く意識している。
 しかも突き詰めると、インプレッションズである必然性も低い。

 なぜこの盤を作ったのだろう。リロイ脱退の時期ならば、無理に作らずメンバー確定してから仕切り直したほうが、アルバムとして活動の必然性は高まっただろう。無理にリロイ時代に拘らずとも。

 同時期のライブを収めたカーティス・メイフィールド"Curtis in Chicago"(1973)にはインプレッションズもゲストで参加し、本盤のタイトル曲を披露している。
 よほどこのトータル性を表現したかったのか。カートムからの発売であり、何もリリース・スケジュールに縛られなさそうな気がする。それともレーベルと契約がらみの都合?

 カーティス脱退後のボーカル・グループとして、インプレッションズは当時にどんな期待や意気込みを持っていたのだろう。当時の評判やメンバーらの心象風景を込みで聴きたいアルバムだ。
 現在の評価は地味だと思う。カーティス不在のインプレッションズに、さほど注目はされていない。内容の良しあしとは別次元で、本盤がそれほど話題に上がることはあるまい。だからこそ、当時の様子が知りたい。

 虚心に本盤を聴くならば、前述の通りにニュー・ソウルのひりひりした切迫や緊張が滲んだアルバムだ。かなりコンセプトに振ったアルバムとは思うが、メロディのきれいさは文句ないし、アレンジも緻密に施されている。
 ストリングスたっぷりの劇甘な編成にもかかわらず、潔い凛々しさを生かしたサウンドは心地よい。
 
 決して前衛的ではないが、歌ものソウルとして実験的な作品だとは思う。B1なんて10分以上ある。
 A3やB3のように単独で聴ける美しいメロディもあるが、全体的には大きな物語を聴いてるかのよう。

Track list
A1 What It Is 2:28
A2 Preacher Man 3:10
A3 Simple Message 3:30
A4 Find The Way 3:40
B1 Thin Line 10:32
B2 Color Us All Gray (I'm Lost) 3:00
B3 I'm Loving You 3:46

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