FC2ブログ

Huey Lewis and the News 「Huey Lewis and the News」(1980)

 上昇志向が心地よい、B級ローカルバンドな面持ちのデビュー盤。

 数年後にはアメリカのヒット・チャートを席巻するバンドになる、ヒューイ・ルイス&ザ・ニューズ。この時点では下積みを続けて売れることを願うバンドの一つでしかなかった。

 ヒューイは本盤時点で30歳。鍵盤のシーン・ホッパーらとバンド結成が72年だった。
 ニック・ロウのプロデュースでエルヴィス・コステロの1st"My aim is true"を、すでにホッパーが参加していたクローバーがバッキングが76年。
 ヒューイがクローバーへ参加はそのあとかな?結局、クローバーは3rd"Unavailable",4th"Love On The Wire"(1977)を出して解散した。

 79年にアメリカン・エキスプレス名義で活動中に、クリサリスと契約に至った。カード会社とのトラブルを嫌ったレーベルの意向で、バンド名をニューズに変更する。
 ともかくようやくつかんだメジャー・レーベルとの契約をモノにすべく、数週間で本盤を録音した。

 むやみに音を硬く仕上げることなく、素直にパンチをねじ込んで。しゃがれたヒューイの歌声を、清涼なハーモニーが包む。しかしそれはあくまで一要素。肝心なのはギターと時々サックスも混ぜた、西海岸ガレージ・バンドとロックンロールの素直な混淆を目指した。
 ポップなメロディを作るセンスもあった。小粋なドライブ感を醸し出すアレンジ力もあった。ハーモニーを混ぜるアイディアもあった。なによりヒューイの塩辛くバンド演奏に負けない個性的な声があった。
 ヒットこそしなかったが、名曲(8)など魅力的な曲がいっぱいだ。

 残るはプロモーション力だけ、か。
 「遅かれ早かれ、君は俺を好きっていうさ」と(1)でヒューイは歌う。数年後、まさにその通りになった。
 これは予言ではない。彼らの魅力が時代に受け入れられたってこと。

 後付けなら何とでも言えるけれど。今聴き返しても、瑞々しい魅力が楽しいアルバムだ。ヒューイの歌声がバック・トラックに埋め気味で、フロントマンの明確さよりもサウンド全体の躍動感を前面に出している。

 一発録音のゴチャッと籠った勢いよりも、ハーモニーやクラップなどをダビングして、分離良く明瞭な音作りを狙ったようだ。
 裏ジャケでは初期ビーチ・ボーイズのジャケットをパロっている。たしかに彼ら直系の爽快なハーモニーも本盤ではいっぱい聴ける。けれどもそれは一要素。あくまで主体はロックンロールだ。

 タワー・オブ・パワーのホーン隊が加わるのは本盤の次。ここではゲストを入れず、バンド・サウンドを愚直に作っている。
 アメリカのロックンロールを小細工つけず、ストレートに表現しただけなんだな、と本盤を聴くとしみじみ思う。
 ライブを重ねた地力を感じる、かっちりまとまったアンサンブルが頼もしい。

 彼らは時代の波に乗って、やたら硬質でエッジの利いたマスタリングを後年の"Sports"(1983)で行うけれど。この時点ではそこまで派手なミックスを行っていない。
 だから地味ではある一方で、癖無くすんなり聴けるロックンロールに仕上がった。
 ロック、ではない。若者の躍動感をそのまま封じ込めたロックンロールだ。

Personnel:
1 Some Of My Lies Are True (Sooner Or Later) 3:23
2 Don't Make Me Do It 2:55
3 Stop Trying 3:28
4 Now Here's You 4:14
5 I Want You 2:47
6 Don't Ever Tell Me That You Love Me 2:54
7 Hearts 2:49
8 Trouble In Paradise 3:11
9 Who Cares? 3:54
10 If You Really Love Me You'll Let Me 1:53

Personnel:
Huey Lewis – vocals, harmonica
Chris Hayes – lead guitar, backing vocals
Johnny Colla – rhythm guitar, saxophone, backing vocals
Mario Cipollina – bass
Bill Gibson – drums, percussion, backing vocals
Sean Hopper – keyboards, backing vocals

関連記事

コメント

非公開コメント