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Dollar Brand Duo 「Good News From Africa」(1974)

 静謐なアフリカの風景をのびのびと描いた。

 ダラー・ブランドがEnja原盤で収録の2作目、かな。地元の南ア出身なJohnny Dyaniと共演で、雄大かつ強靭なグルーヴのジャズを逞しく描いた。
 録音はドイツのルートヴィヒスブルク。アフリカっぽい世界観を、レーベル・オーナーのホルスト・ウェーバーはじっくり地元で作り上げた。

 ベースとピアノ、簡素なアレンジのはずなのに、二人が歌声混ぜて演奏が始まると、びっくりするほど厚みと深みが出るサウンドが痛快で素晴らしい。
 ブランドはフルートも演奏。時に荒々しく素朴な音色で、ざらついて埃っぽい風景を披露した。

 アメリカとも欧州ジャズとも違うしたたかで広々した南アの、いやブランドのジャズにウェーバーが熱狂したのだろう。余計な企画やプロデュースは加えず、素直にアルバムを作った。
 (1)(4)はトラッド、(3c)がSam Mgwanga Williamsなる人の作曲だが、あとはすべてブランドのオリジナル。
 
 猛烈に突っ込み熱く燃える場面、穏やかにじっくりと太く描く場面。双方のアプローチを使い分けながら、ブランドは奏でている。脇役に留まらずベーシストがしばしばソロを繰り出し、遠慮なくブランドの世界をかき回す場面も痛快だ。

 コンセプトがブランドとディヤニの間でぶれていない。ブランドの音楽は南ア流をそのままジャズ化ではなく、ブランド自身のフィルターで濃厚かつ詩的に描き直している。
 それをディヤニは受け入れた上で、見事な味付け役を担当した。金属パーカッションも荒っぽいわりに効果的な使用だ。

 イスラム文化をストレートに表現した(4)を筆頭に、本盤ではブランドもディヤニも歌声を臆せず使った。エコーを効かせたサウンドづくりが、音楽に荘厳さを付与してる。

 ピアノによる酩酊感あふれるフレーズの繰り返しを、ディヤニはフリー寄りなベースさばきでかき回す。
 このパターンでは特に(3)が名演。メドレー式に世界が移り行き、ブランドがぐいぐいピアノを弾く中で、ディヤニは臆せずアルコも駆使して切り込んだ。
 決して無菌でも整然でもない。複数の要素が絡み合い、偶発と並列を受け止めるアフリカ音楽の融通無碍さを、簡素なデュオ構成で二人は表現した。

 整った録音環境で冷静にブランドの音楽を捉えることで、南ア録音盤とは違う硬質さとロマンティシズムを持った盤だ。荒々しさと洗練さがいい塩梅で混ざっている。


Track list
1 Ntsikana's Bell 6:05
2 Msunduza 4:37
3a Good News 0:48
3b Swazi 2:16
3c Waya-Wa-Egoli 4:21
4 Adhan & Allah-O-Akbar 4:10
5 The Pilgrim 9:44
6 Moniebah - The Pilgrim 11:56

Personnel:
Bass, Vocals, Bells - Johnny Dyani
Piano, Vocals, Flute - Dollar Brand

Rec. Date: December 10th, 1973; Location: Studio Bauer, Ludwigsburg

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