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Grant Calvin Weston 「Dance Romance」(1988)

 青白くも中途半端なソウル要素あり。多様性を表現か。奇妙な五目味だ。

 プライム・タイムでオーネット・コールマンと共演したカルヴィン・ウェストンが、Grant Calvin Weston名義でドイツのインディIn+Out Recordsから発売した1stソロ。
 録音は西ドイツ。単なる発売だけでなく製作もIn + Outは絡んでる。

 脇を固めたのはオーネット人脈のウルマーとタクーマ、さらにサックスでFostina Dixonだ。
 顔ぶれから見ると80年代に流行った硬質なフリージャズを期待するけれど、初手からいきなり歌モノと意外な展開だ。
 A面を Easy Side、B面を Serious Sideと銘打った。売れ線狙いでレーベル側から依頼されたのか、ウェストン本人の趣味性かは分からない。

 少なくともA面すら、作曲にウルマーやタクーマが関与して、歌まで歌ってる。ある程度はノリノリで演奏してたようだ。それともシリアスなジャズメンは歌など歌うわけがない、ってのは、単なるこちらの思い込みで現場ではソウルとジャズがもっと地続きだったのかもしれない。
 
 A面の歌モノはファンク寄りでありながら、意外とノリは重たい。重厚って意味じゃなく、野暮ったい。歌は軽いし。とってつけたわざとらしさは無いけれど、余技のぎこちなさがそこかしこにある。
 時代の音である、やたらエコーを効かせたドラムも淡々とビートを刻むだけ。メロウさを狙ったのかもしれないが、爆走を期待したらあてが外れる。
 特にA3のパワー・ステーションみたいに硬質なサウンドは今聴くとけっこう古臭い。この曲はベースとギターが派手に動いて、演奏は悪くないのに。微妙にビートがズレてるノリが不思議な感じ。
 
 ほとんどのリードボーカルはウェストン自身。そのわりに作曲を自分で仕切ったわけでもない。歌いたかったのか、叩きたかったのか。今一つA面では方向性を聴き取れなかった。
 なおプロデュースはウルマーとクレジットあり。

 素直にハードなジャズをやったB面のほうが、このメンツから期待するサウンドへ見事に応えた。
 冒頭から手数多いドラム・ソロで幕開け。変拍子の鋭角なリフをギターとベースが奏で、一気にスリリングな世界を描いた。A面のほうも、こういうノリで歌モノにすれば統一感がでたろうに。A3でわずかに共通性を感じるが、他2曲はポップさに色気が出ている。
 B面は逆に譜面を駆使しつつも高速インプロのジャズが、痛快にばらまかれた。
 ウェストンが叩きまくるシンプルなビートの上をウルマーのエレキギターが滑り、はしごを外すようにタクーマのベースが暴れるB1は単純にかっこいい。
 そしてたっぷり三人のセッションを聴かせたあと、おもむろに軋むFostina Dixonのサックスが切り込むアレンジだ。
 一本道でざらつく道を、逞しくドラムが疾走して他の楽器が彩りを添えた。
 フリージャズ好きのツボを外さぬアレンジが巧みだ。

 B2とB3はウェストンの単独曲。B2はエコーを効かせた自らの呟きが、ドラム・ソロに乗って紡がれる。ポエトリー・リーディング的なノリか。音楽的にはシンプル。

 B3は再びタクーマとウルマーが加わり、がっつりセッション。ブルージーだが少しひねったベース・ソロのイントロから、フェイドインするようにドラムとギターが加わった。
 混沌で切れ味鋭くインプロ気味に演奏した。暗黒ブルーズが心地よい。

 特にA面で戸惑う盤だけれど。多様性をいったん受け止めてから聴き直すと、ウェストンの意気込みがわかる、かもしれない。


Track list
Easy Side
A1 Chocolate Rock 5:11
A2 I Can Tell 7:17
A3 Planetarian Citizen 4:48
Serious Side
B1 Preview 11:25
B2 Dance Romance 4:24
B3 House Blues 7:48

Personnel:
Drums - G. Calvin Weston
Lead Vocals - G. Calvin Weston (tracks: A1 to A3, B2)

Saxophone - Fostina Dixon (tracks: A1, B1)
Vocals - Fostina Dixon (tracks: A2), James Blood Ulmer (tracks: A2)
Backing Vocals - Jamaaladeen Tacuma (tracks: A1, A3)
Bass - Jamaaladeen Tacuma (tracks: A1 to A3, B1, B3)
Guitar - James "Blood" Ulmer (tracks: A1 to A3, B1, B3)
Keyboards - Jamaaladeen Tacuma (tracks: A1)

Producer - James "Blood" Ulmer

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