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Tower of Power 「Back on the Streets」(1979)

 いったん本盤で歴史が寸断される。時代と接点を探った小粒なアルバム。

 タワー・オブ・パワーによるコロンビア時代の三作目。前作から一年後と着実なペースでリリースされたが、70年代の終わりと呼応するように、ここからToPは表舞台から姿を消して力を溜める時期に入った。
 
 プロデュースはエミリオ・カスティリョ、ToP、そしてMcKinley Jackson (tracks: 1-3, 5), Richard Evans (2) (tracks: 4,6,-9)。エミリオの名前が別建てなのは、バンドの仕切りが彼なためか。
 McKinley Jacksonはデトロイトを拠点のトロンボーン奏者であり、作曲家やプロデューサーとして70年代に活躍してた人。Richard EvansはシカゴのレーベルCadetのプロデュースなどで50年代から活動のベテランだ。

 前作のスティーブ・クロッパーのように外部からプロデューサーを招きつつ、南部から北部へ音作りを変えて都会さを狙ったか。
 いずれにせよベイエリアの地元とは違う香りを求めた。レーベル側の意向か、エミリオのアイディアかは分からないが。

 むしろ楽曲の方に外部の血が大幅に入った。エミリオとステファン・"ドク"・カプカの黄金コンビによる曲は(4)のみ。チェスターやピケットなど昔なじみなメンバーの作品が
は(6)(7)(9)だけ。あとはプロデューサーや外部作家の楽曲を採用した。
 (5)はマーサ&ヴァンデラスが65年に出したシングルのカバーだ。

 前作と比べメンバーにも変換あり。
 Bruce Conteが去り、併せてベースのVictor ConteとドラムのRonnie Beckも変わった。
 ギターはDanny Hoefer、ベースはVito San Filippoに。ドラムの代わりは往年のメンバー、ガリバルディの復帰した。
 
 しかしToPさが減じてるかと思いきや、全然そんなことないのが彼らのユニークなところ。
 確かに洗練された作りもそこかしこにあるけれど、小刻みなビートにのってタイトなホーンがサウンドを引き締め、コーラスとあいまって時にメロウなグルーヴさを出すとこは変わらない。

 ガリバルディのリズムに、ベースがロッコの方向性をなぞる手数多い小刻みなベース・ラインを出すためだろう。
 リズムだけなら、前作よりよほど本作のほうがToPのカラーがきれいに出ている。
 なおPaulinho Da Costaを筆頭にパーカッションは外部のミュージシャンも足してビートに厚みを出した。
 コーラスにはデトロイトの歌手、The Jones Girlsの名も。彼女らの箔付けもあったのかな。彼女らがPIRからギャンブル&ハフらのプロデュースでデビューは、本盤と同じ79年だ。

 芯は変わらない。しかしサウンドの志向は楽曲ごとに変わった。(1)はP-Funk、(2)や(8)はディスコっぽさを意識か。(3)の甘酸っぱいバラードはToPらしくもある一方で、PIRのフィリー・ソウルにも通じる。
 カバーの(5)はパーカッションをフィーチャーして、モータウンやノーザン・ソウルが下敷きでは。
 だけど根幹はぶれない。強烈な存在感を放つ曲こそないけれど、どの曲もきちんと作りこまれて、華やかに仕上がった。前作よりもずっとぼくは好ましい。
 ほんとうにToPはしぶとい。そこが、魅力的だ。

 このあとはディスコやテクノの流行を受けて大編成ファンク・バンドはすっかり流行らなくなり、彼らは契約を取れぬまま苦難の時期に入った。
 81年にシングル"It's As Simple As That"をFusion Recordsから発表、同年に"Sheffield Lab"をSheffield Labからリリースするけれど、スポット契約の域を出なかった。後にRhinoが発掘した"Dinosaur Tracks"は80-83年の録音だ。じりじりと活動は続けていた。
 表舞台では、ホーン隊がューイ・ルイス&ニューズのライブで活躍してた。前述のシングル"It's As Simple As That"はヒューイが"Fore!"(1986)でカバー。ヒューイもToPを盛り立て続けた。

 そしてToPは挫けなかった。"T.O.P."(1986)をGenlydから出し復活の狼煙をあげ、"Power"(1987)で完全復活。"Monster On A Leash"(1991)でEpicと契約を掴み、懐メロ路線に留まらぬ新生ToPで活動を再開した。
 そのまま彼らは00年代を駆け抜け、09年頃からは営業ツアー・バンドの立ち位置に変わりつつも、今に至っている。
 


Personnel:
Tower of Power
Emilio Castillo - tenor saxophone, backing vocals, producer
Lenny Pickett - synthesizer, alto saxophone, soprano saxophone, tenor saxophone, backing vocals
Stephen "Doc" Kupka - baritone saxophone, backing vocals
Greg Adams - trumpet, flugelhorn, backing vocals
Mic Gillette - trombone, trumpet, flugelhorn, piccolo, bass trombone, backing vocals, piccolo trumpet
Michael Jeffries - lead and backing vocals
Chester Thompson - organ, synthesizer, acoustic piano, backing vocals, clavinet, Moog synthesizer, Fender Rhodes, Minimoog
David Garibaldi - synthesizer, drums, Syndrum
Vito San Filippo - bass, backing vocals
Danny Hoefer - guitar

Additional personnel
Harry Bluestone - concertmaster
Sol Bobrov - concertmaster
Eddie "Bongo" Brown - percussion
Greg Crockett - guitar
Paulinho Da Costa - percussion
Cheryl Jeffries - vocals
The Jones Girls - backing vocals
Bill Lamb - brass
Gayle Levant - harp

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