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Huey Lewis And The News 「Fore!」(1986)

 安易に前作を踏襲せず、少し小粒でも地に足の着いた作品を狙った。

 特大ヒットな"Sports"(1983)を受け、おもむろに発売へ至った本作。当時の流行りなNY流、前作でのボブ・クリアマウンテンによるガチガチのミックスをそのまま継承せず、ライブを意識したバンド・サウンドを追求した。
 ホーン隊にタワー・オブ・パワーのメンツも参加を呼び戻す。ロックンロールの躍動感を生かして作った本作は、正直言って当時は地味に思えた。

 けれど30年以上たった今聴いてみると、古臭くなってない。思い出補正があるにせよ、猛烈な気合が詰まった前作とは違う普遍性だ。
 本盤はロックンロールの魅力を単純に、流行を追わないアレンジで料理してるせいだろう。
 
 ちなみにヒューイ・ルイス&ニューズのレパートリーで、ぼくが一番好きなのは本盤収録の(1)。舞い上がるようなサビのメロディに、いつもワクワクする。どこかこじんまりしたミックスが物足りないのだけれど。
 前作のヒットで潤沢な予算を武器に、色々と録音や制作を試してみたということか。
 Discogsのクレジットによると、録音は前作同様にカリフォルニアの同じスタジオ。ミックスはNYのパワー・ステーションで変わらず、ただしミキサーがボブ・クリアマウンテンから変わってRobert Missbachが務めた。(9)のみMalcolm Pollackがミックスを担当してる。

 最終的な売上は前作ほどで無いにせよ、本作も丁寧に販売された。
 切られたシングルは6曲。"Jacob's Ladder"、"Stuck with You"、"Hip to Be Square"あたりはリアルタイムにラジオで聴いてたから、特に印象深い。
 87年くらいからぼくはヒットチャートにと異なる音楽を聴き始めてしまったため、以降のシングルは耳馴染みないけれど。"Doing It All for My Baby"なんてのも、甘酸っぱい良い曲だと思う。

 "Hip to Be Square"のように、前作そのままな硬い音作りの一方で、ToPのホーン隊を生かした"Doing It All for My Baby"のように暖かなサウンドも同居した。
 セレブになっても音使いはジーンズの庶民感を崩さない、バンドの生真面目さが伝わる。

 本盤発売前にヒットした"Power of Love"は本作のUS盤には未収録。日本盤や欧州盤には収録された。US盤に入れたら、もっとビジネス的には盛り上がったろう。過度のヒット作狙いをしないヒューイたちのこだわりか、それとも単なる契約の都合か。
 (10)はタワー・オブ・パワーのカバー。ToPの低迷期に、Fusion Recordsから81年に出したシングルのみに収録曲。エミリオ・カスティリョとステファン・カプカらが作った、もろのToP節をパンチ力ある歌声でヒューイは瑞々しく歌い上げた。

 前作と本作、一枚の選択を迫られたら前作を選びはするけれど。味わい深さでは決して本作も負けていない。ガツガツした気合が、どこか鷹揚なゆとりをもった風情が本盤には漂う。
 しかし大物気取りの浮世離れさや、産業ロックの売らんかなって暑苦しさは無い。地に足の着いたカッコいいロックンロールを奏でている。

Track list
1 Jacob's Ladder 3:30
2 Stuck With You 4:20
3 Whole Lotta Lovin' 3:27
4 Doing It All For My Baby 3:38
5 Hip To Be Square 4:03
6 I Know What I Like 4:00
7 I Never Walk Alone 3:41
8 Forest For The Trees 3:25
9 Naturally 2:54
10 Simple As That 4:30

Personnel:
Huey Lewis and the News

Huey Lewis - harmonica, vocals
Mario Cipollina - bass
Johnny Colla - guitar, saxophone, backing vocals
Bill Gibson - percussion, drums, backing vocals
Chris Hayes - guitar, backing vocals
Sean Hopper - keyboards, backing vocals

Additional personnel
Greg Adams - trumpet
Ralph Arista - background vocals
Emilio Castillo - tenor saxophone
Dwight Clark - background vocals
Mike Duke - background vocals
Richard Elliot - tenor saxophone
Riki Ellison - background vocals
Jerome Fletcher - background vocals
David Jenkins - background vocals
Stephen "Doc" Kupka - baritone saxophone, background vocals
Ronnie Lott - background vocals
Joe Montana - background vocals
Jim Moran - background vocals
Lee Thornburg - trumpet

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