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Sea and Cake 「Nassau」(1995)

 歯切れ良く、ちょっとミニマルさをねじ込んでくる乾いたロック。

 シー&ケイクの2ndはポップな一曲で始まる。ギター・ロックの形式を取りながら熱くならず、冷静な面持ち。繊細さがあるとしても、ナイーブさや内省的な心情を晒しを志向しない。
 淡々と冷静にビートが紡がれる。ニューウェイブのヒリヒリした切迫感が無く、たるっとした落ち着きあるのが特徴か。(5)のように鋭く叫ぶ歌声がはいってすらも、尖ったスピード感に至らない。
 実際のBPMとは別次元で、どこか他人事で客観視してる。芸術家気取りのお澄まし顔とも違う。当時のシカゴのポスト・ロックがそういう志向なのかもしれないが、後追いで聴いても違和感を感じた。

 ちなみにリアルタイムだと、なんだか無機質で小難しい印象があって、ぼくはシー&ケイクはほとんど聴かなかった。改めて聴いてみると無機質さは半分当たってるが、予想以上にポップさがある。

 前作に比べボーカルも線が細いなりにこなれた感じあり。1stからわずか半年かそこらしかたっていないのだが。
 サウンドはさりげなく凝っている。ポップス構造を持ちながら、時折ミニマルなインストを差し込んで酩酊感を誘った。するり挿入されるストリングスの異物感もしかり。
 
 この時代は既にプロツールスでポスト・プロダクションを行っていたのだろうか。音だけを聴くとバンド・サウンド。ただしアンサンブルがハマっていても、グルーヴさは冷静に外されている。軽快なドラムとベースの絡みはドライブ感あるけれど。
 
 たぶん後追いだからこそ、ぼくはこの音楽を素直に楽しめている。時代性や自分自身の音楽に対する思い入れを除いて、純粋に音楽へ耳を傾けていられるからだ。
 現実に産まれる皮膚感覚や同時代性を含めてのポップスなのだから、こんな聴き方は邪道だけれど。

 音色に凝りながら、歪みや汗臭さをきれいにシー&ケイクは排している。ロックなアンサンブルの手法を取りながら、肉体感を除去しながら、甲高いボーカルに鍵盤やパーカッションで彩る。
 無機物による抽象彫刻を眺めているかのよう。たぶんぼくは彼らの音楽をつかめそうで、つかみきれていない。当時はだから親しめなかった。今は好奇心だけがうずく。
 もう20年も前の音楽なのに。古びず、無菌室でそのまま佇むような面持ちな本盤のサウンドを。
 
 この逆説的な普遍性こそが、マッケンタイアの狙った音作りだろうか。シンプルだがテクニカル。ポリリズムや変拍子みたいな明確な技は使っていない。でも、どっか奇妙な香りが漂うロックだ。

Track list
1 Nature Boy 5:03
2 Parasol 5:30
3 A Man Who Never Sees A Pretty Girl That He Doesn't Love Her A Little 3:02
4 The World Is Against You 3:13
5 Lamonts Lament 3:55
6 Soft And Sleep 3:43
7 The Cantina 4:48
8 Earth Star 5:10
9 Alone, For The Moment 4:44
10 I Will Hold The Tea Bag 7:27

Personnel:
Bass, Piano, Painting - Eric Claridge
Cello - Poppy Brandes
Guitar, Organ - Archer Prewitt
Percussion, Synthesizer [Ems Vcs3], Electric Piano, Recorded By, Mixed By - John McEntire
Violin - Marnie Christensen
Vocals, Guitar - Sam Prekop
Written-By, Photography By The Sea And Cake

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