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101 Strings Plus The Alshire Singers 「Play and Sing the Songs of The Beach Boys 」(1976)

 ゲテモノだが、気持ちいのは確かなBB5のカバー盤。

 ボーカル・トラックにロンドン・シンフォニー交響楽団の演奏を乗せる企画盤、「ビーチ・ボーイズ・ウィズ・ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」の発売まであとわずか。
 プレスリーやロイ・オービスンに続いてビーチ・ボーイズまでこんな企画盤が出るとは。まだ生きてるメンバーもいるのになあ。

 数十年前に同じような企画盤が存在してた。それが、本盤。
 101ストリングスとは文字通り101本の弦と40人もの管を擁する大編成オーケストラ。
 レコーディング・ユニットとして57年にドイツで結成。メンバーにはロンドン交響楽団やハンブルク交響楽団などクラシックの奏者が仕事で参加したらしい。

 メンバーは毎回違うのだろうが、Discogs見ると数十枚の盤が並んでいる。クラシックの奏者がポピュラー音楽を弾くって企画。売りは大編成のオケ。通常に倍する編成の弦が生み出す、つややかな響きは鳥肌ものだ。ぺっとり吸い付くようにピッチが合い、滑らかに降り注ぐ弦の鳴りは単純に心地よい。

 コーラスを担当のAlshire Singersは詳細不明。Discogsを見るとこの名義で数枚のアルバムを101ストリングスと発表しており、スタジオ・ミュージシャンの疑似バンドだろうか。
 
 本盤に収録は後述のとおり60年代のヒット曲中心。発売は76年だが、妙な現役感は出さずに60年代のヒット曲を素直に並べた。
 むしろA4やB3のようにオリジナルを選曲したことのほうが、よぶん。余計なことせずに、単純にビーチ・ボーイズのカバーで良いのに。

 歌メロを変えるわ、コード進行も違和感あるわと、アレンジは好き放題。ドリーミーさを強調の一方で、極端にポップな方向を強調した。
 オリジナル再現ではないため、目くじら立てる人もいると思う。だがもはや40年近く前の音源だ。大人げないことを言わず、無邪気に楽しむくらいでいいのではないか。イージー・リスニングってことで。

 大人な観点だと"Good Vibrations"なんて面白いアレンジなはず。構造もアレンジも全く違う。オリジナルのサイケな不安定さは綺麗に拭い去り、やたらめったらドリーミーさを強調した。超甘に振り切った演奏は、けっこう楽しめた。ぼくはね。
 ちなみに弦アレンジだけに留まらず、"Fun Fun Fun"や"Wouldn't It Be Nice"ではエレキギターのダビングもあり。節操ないなー。ロック寄りに思わせて、すごく中途半端なギターだもの。

 ロックンロールさは皆無だし、ビーチ・ボーイズの本質だと思う「やんちゃな若い連中のガレージ・バンド」って要素も全く無し。ブライアンの複雑なアレンジも様相が変わっている。

 なんもかんもビーチ・ボーイズの魅力とは違う。しかしきれいなメロディとハーモニー、厚みのあるオーケストレーションって要素だけ、豪快に抜き出した。この傍若無人ぶりが、一回りして楽しい。
 原理主義者から見たら、噴飯ものかもしれない。でも冒頭にあげたロンドン交響楽団との企画盤新譜だって、本質的には冒瀆ぶりが一緒でしょ。

 ということで本盤を妙に弁護する論調になったけれど。繰り返すが、ややこしいこと考えずに楽しむのが吉。Amazon music unlimitedで聴けるから、サクッとBGMで楽しんでみてはいかがでしょう。
 とにかく弦のふくよかさがいい。この暑くなってきつつある夜を、爽やかに彩ってくれる。

Track list
A1 California Girls 3:12
A2 Help Me Ronda 2:36
A3 I Get Around 2:16
A4 Goodtime Feelin' 2:37
A5 Good Vibrations 3:26
B1 Fun Fun Fun 2:01
B2 Don't Worry Baby 2:59
B3 Goodbye Baby 3:45
B4 Wouldn't It Be Nice 2:25
B5 Darlin' 2:45

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