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Nadi Qamar 「The Nuru Taa African Musical Idiom」(1975)

 ンビラの素朴さと奥行きを両立させた、不思議なジャズ。

 ミンガスやアンドリュー・ヒル、ニーナ・シモンと共演歴のあるジャズ・ピアニストのナディ・カマーが親指ピアノ(カリンバ)を複数並べた自作楽器、Mama-Likembiで作ったソロ・アルバム。
 フォークウェイズから発表した。一過性の珍奇なアプローチでなく、真剣にこの楽器を操っていたらしい。他にも"Mama-Likembi Instruction Record"(1975),79年に"Likembi Song Book"を発表した。

 鉄の細い板を指ではじき奏でる。構成はオルゴールに似て、響きはビブラフォンに通じる暖かさがあり。
 どういう奏法か今一つわからないが、複数の親指ピアノをずらり並べて次々に演奏のようだ。単音を前衛的にかき鳴らすのでなく、和音感も意識した演奏。
 
 タッチにより音色が暴れるし、ピッチも微妙に揺れる。はじく行為が産むノイズも混ざり、なおかつ音量が小さいらしく思い切りオンマイクで録音。
 幻惑感と素朴さが混在する、独特の世界観が現れた。

 楽曲はすべて自作。アドリブ要素もある、ジャズ的な作曲っぽい。即興一発でなく、クラシカルな構築性も踏まえたところが特徴だ。
 スタイルにはアフリカ要素が希薄で、むしろ西洋寄り。アジアや中東的な音列も視野に入れた。

 次々に鉄板をはじいていくテクニックは確か。テンポ感もしっかりしており、はじく音の強弱や歪みがなければ、機械仕掛けの演奏と思いそうな箇所もしばしば。

 そう、完全アコースティックな演奏にもかかわらず、響きが一定なためにメカニカルさが漂う。強弱もある程度は意識しても、一本調子な鳴り。楽器のシンプルな構造ゆえかもしれない。

 この点が本盤を不利にしてしまった。演奏は技巧的で楽曲も練られている。なのに単調な印象を受けてしまうのは、響きに余韻が足りないせい。鳴った瞬間はびいんと強く響くのに、あっという間に減衰してしまう。もったいない。

 同じ演奏を例えばピアノで弾いたら、マリンバで弾いたら、かなり楽曲への印象は変わるはずだ。
 でもむしろ西洋楽器で弾いたほうが無機質さが強調されてしまうかな。
 無秩序に乗るノイズやサワリがあるからこそ、本盤の音楽は幻想性を持つのかもしれない。

Track list
1.After Glow 2:17
2.Ode to the Shrines of Buddha 9:24
3.Australian Seascape 5:26
4.Tribute to Art Tatum 4:48
5.California Sutra #2 8:02
6.Earth Quintessence 2:57

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