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Rick James 「Kickin'」(1989)

 前半2曲が弱い。しだいにコクが出てくるアルバム。

 発売当初はお蔵入り。本盤はリック・ジェームズの死後、2014年に配信でリリースされた。当時はプロモ・コピーのみが出回って終わりだったそう。
 だからリアルタイムでは"Wonderful"(1988)から"Urban Rapsody"(1997)まで約9年間、ジェームズの新譜は世に出なかった。
 なお本盤の原盤権はリプリーズ。"Urban Rapsody"はPrivate Iからなので、リプリーズは結局のところ"Wonderful"(1988)だけでジェームズを見限ったことになる。

 本盤の詳細クレジットは不明だ。リズム・ボックスによるビートで、ホーンは生。弦はシンセ。曲によってギターやシンセ・ベースがノリを引っ張り、ホーンや鍵盤でグルーヴを作った。
 ジェームズがほとんど自分で作り、コーラスとホーン隊だけダビングかもしれない。

 前半2曲が弱すぎる。ノリはのぺっとしたデジタル寄りのファンクネス。覇気は無く、リプリーズが当時にボツらせたのも間違った判断とは思えない。
 
 だが(2)ではそこそこ声も出ているし、キャッチーなメロディもちらりほらり。
 鳴り続けるリズム・ボックスやオーケストラ・ヒットが古めかしいだけで、時代性に目をつぶれば聴けないアルバムではない、と思い聴き進めると、(3)から一気にジェームズの世界に引きずり込まれる。

 従って発掘して発売は、ありがたい判断だ。バラードの(3)でメロディ・メイカーぶりは健在だから。
 軽快なギターのカッティングとギターやシンセ・リフの組み合わせで迫る、ファンクな(4)~(6)も、盛り上がりはばっちり。
 一本調子でなく、楽曲ごとに音構成を入れ替えて、似たテンションながらバラエティさを出した。
 (6)はデジタルっぽさを前面に出し、70年代風と80年代後半の時代性連結を試みている。
 なぜこの調子でアルバム冒頭を飾らない。たしかに70年代ディスコな面持ちで、時代遅れではあるけれど。

 (7)や(8)のシンセ中心なファンクは少し軽いかな。(9)のポップさで盛り返した。
 大仰な(10)は情感たっぷりながらウエットさを減じて、逞しさを前面に出した。ロマンティックなメロディで気持ちよく聴けた。

 こうしてみるとバラードは(3)のみ。ゆったりめで(10)が加わるくらい。
 アップテンポ強調で明るい作品に仕上げた。そのわりにディスコ調の明朗さを80年代風に再解釈したうえで、むやみにずしずし重たいリズムを廃してる。
 時代性は逆に無いけれど、悪くはないアルバムだ。

Track list
1 Kickin'
2 Day and Night
3 Teach Me
4 Black and White
5 Runaway Love
6 School Me
7 Anything and Everything
8 You Got It Real Bad
9 Get Wit It
10 Rock and Roll Eyes

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