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The Sea and Cake 「The Sea And Cake」(1994)

 淡々と拘泥せずにロックが紡がれていく。

 最初はヘナヘナなコーラスに戸惑い、聴き進むにつれて次第に静かなポップさに惹かれていく。全体を通して漂うのは、静かな情熱。
 熱くならず、クリアかつ硬質に刻みを重ねた。明瞭な一方で単純ではない。ミニマルな要素がそこかしこに溢れるにもかかわらず。
 ポリリズミックな色合いもわずかにある。けれどもリズムの妙味が本義ではない。あくまでも一部。
 
 歌やギター・リフも素材の一つ。バンド形式で盛り上がり、それなりのグルーヴがあっても、跳ねず暴れず破綻せず。
 冷静に弾む。ドラムが独特のうねりで牽引し、真っ白で夾雑物や感情を幾層ものフィルターに通した。
 理知や無気力を追求とも違う。テクノ寄りのメカニカルさとも違う。つかみどころが無く、冷えた肌触りのロックだ。

 プロデュースをつとめたブラッド・ウッドがサックスやオルガンなどで、本盤へ色を強く添えた。

 シー&ケイクの1stアルバムである本盤は、94年に発売。
 カクテルズ、シュリンプ・ボード、バストロなどのメンバーで結成された。
 ジョン・マッケンタイアがトータスの1stを出すのは同年。ガスター・デル・ソルの1st"The Serpentine Similar"が前年。そんな時代。
 ぼくはこの手のバンドは完全に後追い。まとめて聴いている。

 本盤に轟音は似合わない。それなりの静かな音量のほうが、耳へしっくりと馴染む。
 基本の構造はオーソドックスなロック。だが音色やアレンジに、独特の密やかなこだわりがある。
 まだこの盤では、明確にバンドのコンセプトが煮詰まっていない。既存のロック、ニューウェーブやパンクを下敷きにして、オリジナリティが産まれつつある。

 20年以上たったてポスト・ロックすらも昔のサウンドになった今、振り返ると結局はジョン・マッケンタイアに代表するミュージシャンらが冴えた発想を持っており、シカゴの地域性が特異な色合いを作って世界へ広げたのだと思える。

 ボーカルが弱い。それが本盤で最大の弱み。けれどもクッキリと個性強いボーカルがいたら、これほどに頼りなくて線が細いわりに中毒性のあるサウンドに仕上がらなかったのもたしか。
 どこにもいそうで、どこでもない。親しみやすそうで突き放される。そんな孤高性が本盤にはある。それでいて、まだ粗削りさも、そこかしこに。

Track list:
1 Jacking The Ball 3:50
2 Polio 5:24
3 Bring My Car I Feel To Smash It 4:25
4 Flat Lay The Water 4:51
5 Choice Blanket 5:10
6 Culabra Cut 3:02
7 Bombay 3:59
8 Show Boat Angel 4:37
9 So Long To The Captain 5:04
10 Lost In Autumn 7:37
11 Untitled 0:05

Personnel:
Sam Prekop (vocals, guitar)
Archer Prewitt (guitar, piano, vocals)
John McEntire (percussion, drums, some synthesizer)

Brad Wood (sax on 2,6,10、marimba on 5、Organ on 10)

Recorded By, Mixed By Brad Wood

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