TZ 7204:GROUND ZERO "Null & Void"(1995)

とてもポップなコラージュ&人力インダストリアル。グラウンド・ゼロ名義のアルバムだが、限りなく大友のソロに近いと思う。全編を覆う不穏な空気が特徴だ。


さまざまなアジアン言語のサンプリングが、強烈にタイトな演奏の上で飛び交った。

日本語もしばしばサンプリングされ、必然的に意味合いに耳をそばだててしまう。
だが基本はナンセンスな展開。大友のコラージュ・センスが炸裂した一枚だ。アジア圏の緊迫を表現、みたいな政治的意味合いは無いと思うが、つい深読みしたくなる。

バンド演奏と大友個人のコラージュが交錯した。けたたましいサックス、轟音ノイズのギター。このころのギターは、メロディ要素が皆無ノイズばらまき型だ。
明確に意味を付与し続けるボイス・サンプリング。ドラムと鍵盤、ベースのリズム隊はタイトに勇ましく刻み続ける。ブロック編集かと思うほど。

(9)は苦く軋んだ静かな曲。実際のピアノと逆回転のサンプリング・ピアノが淡々と響く。美しく、静かなアルバムの終焉だ。
最後の最後で照れくさそうに、ノイジーなかき回しを入れるバランス感覚が、いかにも大友らしいが。

声のサンプルは後述の通り、多数のミュージシャンが参加。ディクソン・ディーはこのときからの付き合いか。
録音は93年夏に吉祥寺で。ダビングを東京と福島で93年12月~94年3月に行った。もちろんこのときに福島のキーワードは、なんら意味を持たぬ。だが2015年の今、福島の単語が奇妙に浮き上がって見えるのは避けられない。

ぼくはかなり後になって聴いたが、発売年なら2ndにあたる。ジョン・ゾーンの先見性が光るリリースだ。(7)と(9)は大友の初映画音楽、田壮壮監督"藍風箏/青い凧"(1994)用に書かれたとクレジットあり。
ちなみに大友の映画音楽はこのページが凄く簡単に概観できた。もう50本もやってるのか。

Personnel:
大友良英: Turntables, Sampler, Guitar
広瀬淳二: Saxophones
内橋和久: Guitar
記本一儀: Bass, Violin
植村昌弘: Drums
千野秀一: Piano, Synthesizer

Jon Rose: shopping list (3)
Rik Rue: shopping list (3)
高良久美子: percussion (8)
秋岡欧: bandolin (8)
加藤秀樹Hideki Kato: sampled double bass (5, 8)
Nelson Hiu: sampled Chinese flute (7)
Dickson Dee and his family: sampled voices (7)
Xper. Xr.: sampled Chinese reed (7)

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