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Parliament 「Medicaid Fraud Dog」(2018)

 じわじわ迫る、先鋭ファンクを提示した、硬く噛みしめる新作。

 パーラメントの新作は"Trombipulation"(1980)以来、37年ぶり。ファンカデリックも"The Electric Spanking Of War Babies"(1981)から"First Ya Gotta Shake The Gate"(2014)から33年ぶりと長いスパンで新作をだしたけれど。ついに来年にはツアー引退したジョージ・クリントンは、いまだにP-Funkのブランドを意識して創作を続けてる。

 "First Ya Gotta Shake The Gate"が3枚組というのに、本作はデジタル・リリース盤で全23曲。さほど長い曲も無いのだが、106分とアルバム2枚組相当の大ボリューム。よほどこの30年、作り溜めてきたのか。
 
 往年70年代のP-Funkはリアルタイム世代ではないけれど。なんとなくローティーン向けのコミカルなコンセプトを提示がパーラメント、ハイティーン向けにハードエッジなスタイルがファンカデリックってイメージだった。
 ところが"First Ya Gotta Shake The Gate"がぐっとポップな大傑作アルバムに仕上げたと思ったら。
 本作はかなり難解なファンクを提示してきた。

 前衛って意味では無い。リズムはしっかりファンクだし、ホーン隊や大編成コーラスも取り入れたパーラの姿勢。しかし分かりやすいメロディを連呼型とは違う。取っつき悪い。それともこれが最新鋭の流行りか。

 クリントンは76歳になっても、自己再生産や懐古趣味とは無縁を本盤で証明した。P-Funkのツアーは豊富な往年のヒット曲を足掛かりに、エンターテイメントを意識したライブを行っている。大勢のメンバーが織りなす混沌はあるにせよ。

 一方で本作は、もっと濃厚で粘っこいファンクを作り上げた。一回聴いただけではストンと耳に馴染まない。繰り返し聴くほどに、滲みだす硬い味がある。
 ホーン隊がダビングのように軽くまとわりつき、ボーカルたちもふわふわと漂う。
 
 2枚組のボリュームなため、一度に聴くにも集中力がいる。"First Ya Gotta Shake The Gate"は物理的な長さはあるけれど、一気に聴くにはさほど戸惑わない。次々に溢れるアイディアを楽しんでたら、時間がたって行くからだ。

 けれども本盤は違う。地味なゆえに、楽曲の狙いや構造をじっくり追っていく必要があった。
 歌詞がわかれば違うのかもしれない。けれど音楽だけ聴いてると、シンプルなリズム構造と様々な音が絡みつき奥行き深いサウンドながら、つかみどころ無く蠢くファンクネスに戸惑いながら一曲づつを探っていく感じ。

 たぶん耳へずいぶん馴染んだら、本盤の全体像が見えると思う。まだぼくは本盤に耳が馴染んでいない。ここにはこれまでのP-Funkと全く違う、新たな地平がある。前衛ともヒップホップの導入とも違う。
 別に極端な難しいことをやってはいない。しかし耳が本盤のサウンドを素直に受け付けない。つまらないって意味では無い。繰り返し聴くたびに、じわじわと芯に近づいてる感じはする。

 76歳のクリントンと周辺ミュージシャンは、全く枯れていない。新陳代謝をいまだに行っている。ベテラン勢の作品を聴くときの、円熟と現役感のバランスをとる生きざまを暖かく受け止めるのと全く違う。

 本盤は、新作だ。P-Funkの代表作とは言わない。けれども新たなファンクを本盤は提示している、気がする。もっと本盤を聴きこんでみよう。その感想はまた、いずれ。

Track list
1. Medicated Creep
2. Psychotropic
3. 69
4. Backwoods
5. Oil Jones
6. Proof Is In The Pudding
7. I’m Gon Make U Sick O’me (feat. Scarface)
8. Antisocial Media
9. All In
10. On Fire
11. Loodie Poo Da Pimp
12. Mama Told Me
13. Set Trip
14. Kool Aid
15. DaDa
16. Pain Management
17. Riddle Me This
18. No Mos
19. Ya Habit
20. Higher
21. Medicaid Fraud Dogg
22. Insurance Man
23. Type Two

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