Dollar Brand 「Anatomy Of A South African Village」(1965)

 生き生きと独自のジャズをピアノ・トリオでじっくり聴かせたライブ盤。

 ダラー・ブランドの本表題なアルバムには2種類ある。欧州のフォンタナから65年に発売した、マルテ・ロリングがイラストのジャケット。ぼやけた写真のジャケットもあるが。
 もう一つはブラック・ライオンが92年に発売した写真のジャケット。
 どちらも65年1月30日にデンマーク首都コペンハーゲンのMontmartre Jazzhusで行われたライブを収録した。後発の写真ジャケットは(1)のみが共通、残りは発掘音源になる。契約の問題なのか、イラストのジャケットや構成の盤は簡単に聴けないのが現状だ。

 本盤は写真ジャケットの方。
 自作をメドレー気味に弾く15分越えの(1)。"Blues for a hip king"っぽいメロディも挿入される。
 ここへスタンダードの(2)やオリジナルの(3)と(4)を加えた。(4)もメドレー。
 なおイラスト・ジャケットのほうではモンクの曲や別のオリジナルを演奏してる。全曲盤が出ないかな。

 サイドメンはどちらも南アのミュージシャン。
 自らのルーツを踏まえた、粘っこくもタフなジャズをたっぷりとダラーは提示した。骨っぽくも逞しい音使いが痛快だ。
 武骨かつロマンティックなムードを軸にして、むやみに弾きまくらない。
 しっかりと芯を持ち、多彩な技を駆使しながらも軸はぶれない。

 小粋とは少し違う。洗練とも言いがたい。でも粗野ではない。雄大かつ頼もしい価値観で、ふくよかに包み込む。素晴らしい演奏だ。
 
 (2)と(3)はピアノ・ソロ。食器の音や喋り声も響く。ヒスノイズも目立つ音質的には今一つ。集中して聴けよ、とは思う。もっともブランドは我関せず、黙々と自分の音楽に没入して独特のタイム感でピアノを鳴らした。

 リズム隊はいなくとも、ブランドの音楽は成立する。
 その一方でリズムが加わったとき、南ア流の柔らかくはずむグルーヴが現れた。それが(1)や(4)。
 強力かつミニマルな左手のピアノが地を這い、ベースはさらに骨組みを強化した。ドラムが軽い打音をちりばめ、ピアノの右手がきらめく。
 ひとつながりに捩られた、南ア独特のファンクネスが心地よい。

Track listing

1 Anatomy Of A South African Village 15:11
2 Smoke Gets In Your Eyes 2:20
3 Mamma 1:11
Boulevard East / Sunset In Blue / Easter Joy / Boulevard East (20:17)
4.1 Boulevard East
4.2 Sunset In Blue
4.3 Easter Joy
4.4 Boulevard East

Personnel:
Piano - Dollar Brand
Bass - Johnny Gertze
Drums - Makaya Ntshoko

Recorded at the Montmartre Jazzhus, Copenhagen, 30th January 1965.

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