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Blood, Sweat & Tears 「Blood, Sweat & Tears」(1968)

 端正なアレンジとカバーを取り混ぜ、きれいにまとめた2nd。

 ブラッド・スウェット&ティアーズは1st発表後に、中心メンバーのアル・クーパーが抜けてBobby Colomby(ds)とSteve Katz(g,vo)が加わった。もっとも実際のドラムはバーナード・パーディだったとのうわさもあり。
 ロック史では本盤が名盤として語られ、BS&Tのキャリアでも最高傑作に位置づけのようだ。

 本盤の幕開けは、いきなりサティの"ジムノペディ"を料理した。フルートを中心に丁寧にアレンジだ。
 武骨でハードさを狙うロックとは異なるベクトル。かなりインテリな世界観が狙いか。
 サティが"ジムノペディ"の作曲は1888年。でも69年の時点でロックに採用は、かなり斬新だったのでは。
 なおWikiによると1963仏映画"鬼火"(1963:ルイ・マル監督)で、"ジムノペディ"は世界的にはポピュラーになったとある。日本では75年頃から西部美術館でBGMに使われたらしい。
 とはいえ僕がこの曲を知ったのは、スネークマン・ショーの"戦争反対"(1981)であり、坂本龍一のMedia Bahnツアー(1986)の音源で、だが。

 他にも本盤ではトラフィック"Mr. Fantasy"(1967)からA2を、A5はピーター、ポール&マリーによるローラ・ニーロ作"And When I Die"(1966)、A6ではビリー・ホリディ。B2はブレンダ・ハロウェイの67年の作品。B4はクリームの"Sunshine of Your Love"(1967)を挿入と、カバーを多数投入した。

 どれも発売時点で数年前の曲。微妙な懐メロ感を狙うあざとさだ。Top40をカバーするローカル・バンド的な無邪気さではない。
 アレンジもジャズやブルーズっぽかったり、組曲のように数多い転換を取り入れたりと知性的な方向性が目立つ。

 プロデュースはのちにシカゴで名を挙げるジェイムズ・ガルシオ。本盤の前にはバッキンガムスを担当していた。
 本盤の音楽性は彼の嗜好か、メンバーの方向性かは不明だが。

 本盤の演奏は今の耳で聴くと整いっぷりこそが、むしろ頭でっかちに聴こえてしまう。代表曲B1も、今一つパンチが無い。
 皮肉なアプローチだ。当時の感覚なら超タイトでも、ジャストさはクリック仕立てなテクノ以降のサウンドと比べられない。

 ジャズの即興性や、ブルーズの素朴さが隅々まで譜面化された。バロックなどクラシカルな風味もB3では登場する。プログレ的な位置づけを狙いか。もちろん彼らはブラス・ロックの最右翼で活躍したのだが。
 なおかつ時折ぱらり振りかけられるサイケな音処理が、時代性を狙いすぎて現在では古めかしさが否めない。

 この徹底的に煮詰めた志向が本盤の特徴であり、傷になってしまった。
 逆にいうとアンサンブルはとても上手い。グルーヴを保ちながら、整然にまとめてる。前述のようにドラムをはじめとして、実際の演奏はスタジオ・ミュージシャンだったのかな。
 リアルタイムで聴いていたら、熱中していたろう。しかし後付けの情報で聴いたら、シカゴほどの時代を超えた普遍性や、タワー・オブ・パワーほどファンクネスが滲まない。
 時代の空気をどっぷり吸収しつつ、なおかつ理知的に冷静な作りこみを施した盤だ。悪くは無いが、刺激する牙の鋭さは時代を経て丸くなってるような気もする。

Track listing
A1 Variations On A Theme By Erik Satie (1st And 2nd Movements) 2:33
A2 Smiling Phases 5:08
A3 Sometimes In Winter 3:08
A4 More And More 3:03
A5 And When I Die 4:04
A6 God Bless The Child 5:57
B1 Spinning Wheel 4:06
B2 You've Made Me So Very Happy 4:18
B3 Blues - Part II 11:55
B4 Variation On A Theme By Erik Satie (1st Movement) 1:37

Personnel:
David Clayton-Thomas - lead vocals except as noted
Lew Soloff - trumpet, flugelhorn
Bobby Colomby - drums, percussion, vocals
Jim Fielder - bass
Dick Halligan - organ, piano, flute, trombone, vocals
Steve Katz - guitar, harmonica, vocals, lead vocals on "Sometimes In Winter"
Fred Lipsius - alto saxophone, piano
Chuck Winfield - trumpet, flugelhorn
Jerry Hyman - trombone, recorder
Alan Rubin - trumpet on "Spinning Wheel" (subbing for Chuck Winfield)

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