TZ 7270:内橋和久/吉田達也"Barisshee" (2012)

吉田と内橋の即興デュオ、"超即興"が満を持してTzadikに登場した。
後述の通り大部のリリースが多いため、入門編に本盤は最適だ。
11年5月4日、渋谷BAR Issheeでのライブを吉田が録音/ミックスした。アルバムタイトルはここから。曲名はいつもの謎なアルファベットの羅列だが。
ハイスピードできれいに絡み合う、繊細で相性ばっちりのスリリングな即興を楽しめる。

超即興でのアルバムは、6作目かな。ルインズでの共演とか除いて、以下で合ってるはず。ゲスト入りの演奏を含む。

2005 "Hercules' Icy Club"
2005 "Improvisations"
2007 "Improbisations 2"(3CD)
2009 "Improvisations 3"(DVD+CD)
2011 "砂山のパラドックス"
2012 "Barisshee" 【本作】
2012 "堆積と浸食"
2012 "IMPROVISATIONS 4"(DVD)

内橋との即興は、よほど吉田の好みに合うのだろう。他の人との共演作に比べ膨大なボリュームが発表されている。盤によりゲストこそ招くが、根本コンセプトは変わらない。新機軸を探しもしない。ただ、インプロを演奏。それが抜群のクオリティを打ち出す。

本盤も曲構造やアプローチは無造作だ。猛烈なスピードで吉田が叩きまくる上を、変幻自在に内橋が変貌させる。それを聴き吉田が反応し、さらに内橋が展開を変える。それがまったくパターン化に陥らぬ、驚異の即興力だ。

鋭さと緩急の好みがよほど合致するのか。ちなみに二人ともクリーンで鋭い音使いが特徴だ。かんかんにピッチを上げたスネア、あまりディストーションさせぬギター。音数こそ多いが、歪みで音が闇に溶けはしない。細かく聴き分けられ、粒立ちのスマートさに浸れる。
音色の重たさや凄みより、譜割そのものの流れや選択を楽しむ。そんな二人の方向性だ。
なお本盤でもエレクトロ・パーカッションの音や、歪みを載せた音色はもちろん使っている。頑なな姿勢が二人に有ると言わない。逆だ。縛られず、固定しない。スタイルに寄りかかり硬直化しない、と言いたい。
通底するのはスリリングな即興演奏、そのものだ。

更に脅威は、このデュオは演奏中で頻繁にビシバシとキメが合うとこだ。全て即興のはずなのに、時に譜面かと思うほど構築度の高い演奏が噴出する。
ここでは一曲づつの感想まで踏み込まない。しかし細かく聴くほどに、二人の演奏が持つ強度に圧倒される。

超即興のライブ映像がYoutubeで見つからないので、同年に豪メルボルンでの吉田達也のライブ音源でも貼っておこう。


と思ったら、ここにいっぱいあった。

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