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orchid mantis 「kulla sunset」(2018)

 浮遊する、少し病んだ世界観が癖になるサイケ・ポップ。

 と言っても、今日たまたまBandcampで聴いてハマったんだけど。
 orchid mantisはジョージア州アトランタに住むThomas Howardのソロ・プロジェクトらしい。
 2014年から活動を始め、ディスコグラフィーはこんな感じ。すべて彼のBandcampで音は聴ける。
Some Songs (May 2014)
Hessdalen Light (November 2014)
Grave Spells (May 2015)
To Get Back There (July 2015)
Mystery Zones (October 2015)
Flashbulb Memory (December 2016)
Holograph Tapes Vol. 1 (July 2017)
Kulla Sunset (March 2018)

 本盤は一年弱ぶりに出たアルバムだが、製作そのものは2015年からの音源集。"Flashbulb Memory"(2016)セッションの音源に、最近作った作品を足して作ったそう。

 サウンドの特徴はすごくこもったサイケ・ポップ。メロディはそれなりにポップ。歌も情感たっぷり込めている。
 そのわりに思い切り音をひしゃげさせ、なおかつエコー処理をどっぷりかけて、ひねくれた夢見心地の世界を作った。

 楽器は多重録音の生演奏。けれどもエフェクタ処理がふんだんに施され、何とも病んだ世界が産まれた。ヘンテコ、ではない。シューゲイザー路線。ただし波打つ音は、歪んだカセットテープのよう。ふらふらとくすんだ風景にねじれさせ、甘く繊細なポップスのはずが、チョップ&スクリュードのように爛れたムードを描いた。

 他の盤もちょっと聴いてみたが、アプローチはほぼ変わらず。これが彼の音世界らしい。
 往年のシミー・ディスクでクレイマーが行った処理に似た、エコーとエフェクタで煙った酩酊感で仕立たサウンドだ。
 もっとも受ける印象はヘルシーで内省的。病んだ世界と書いたが、ドラッグやパンク、スカムやノイズ寄りの色合いはほぼ無い。
 傷つくことを恐れ内に籠ったのに、脆い皮が危なっかしく自然にそこかしこで綻びてくような、そんなはかない小宇宙だ。

 たぶんアコースティック、もしくは素直に録音したらきれいなポップスだと思う。多少はシューゲイザー風だったとしても。
 ところがorchid mantisは、さらにひとひねり。音像そのものを砕き歪めボロけさせた。
 繊細さが突き抜けて、崩れていく不安定さの美学を漂わせた。

 こういう不自然かつ内省的なサウンドはすごく好み。たまたま耳にした音源だが、これは良かった。

 orchid mantisの音源はAMUでもほとんどが聴ける。もしかしたら本盤もそのうち、Amazonで聴けるのかも。フィジカル・リリースとして本盤は、スロヴァキアのカセットテープのレーベルZ Tapesから、70本限定でカセットの発売もあり。
  

  

Track listing:
1.sunlight 04:09
2.graveyards & lost dogs 02:53
3.pull 03:26
4.miracle strip 03:10
5.still life 02:45
6.kulla 01:06
7.sunset twice 02:08
8.coming down 03:44
9.crystal lake 02:35
10.before the sun 02:46
11.stye sky 02:46
12.tired in the morning 02:59
13.empty palms 04:20

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