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Nikhil Banerjee 「Fond Memories - Sitar Volume 2」(1995)

 たっぷりとインド音楽の妙味を味わえる一枚。

 Nikhil Banerjeeはニキル・バネルジーと発音するらしい。Wikiによるとインドのカルカッタ出身でシタールの古典音楽奏者として名高い人のようだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Nikhil_Banerjee
 録音そのものは多数リリースがある。1931年生まれで1986年に他界。いわゆるワールド・ミュージックの分野で持てはやされた人でないため、経歴情報があまりネットにもない。

 本盤はAll India Radioからのリリース。文字通りインドのレーベルだが、文字通りラジオ局のレーベルなのかな。副題にアーカイブ・シリーズとあり、このFond MemoriesはDiscogsだと95年に全5枚がリリースされた。
 
 収録は全2曲。それぞれ30分近い長尺で、伴奏にタブラ奏者Shyamal Boseが参加した。経歴が見つからないが、彼も著名な人なのかも。
 双方とも67年3月28日に録音された。

 曲の詳細は不明。バネルジーの経歴からして古典音楽と推測する。いわゆるインプロでは無いにせよ。かといってインド音楽がすべて譜面は言えまい。
 たぶんかなりの部分が奏者の即興であるはずだ。

 曲名のraagとはラーガを指す別の綴り。
 (1)はWikiをたどると、Thumriがインド古典音楽のジャンルの一種で舞踏音楽系を指し、Piluがラーガの一種とある。
 (2)のBhatiyarとはヒンドゥースタニー、すなわち北インドのイスラム王朝宮廷での古典音楽におけるラーガの名らしい。
 これらが曲名なのか、それとも形式を現してるのか。後者のような気がしないでもない。

 インド音楽は興味本位でつまみ食いのみ。体系だった知識はない。だからコメントに困るし、ライブ演奏でないCDで音構造が読めぬまま、集中力を30分持続させるのはけっこうしんどい。
 とはいえ聴き流さず耳を音楽へ寄せると、シタールの多様な響きに惹かれることができる。

 きゃらきゃらと高音一辺倒ではない。高音を鳴らしながら低音を野太く響かせる、
 アクセントやダイナミズムは西洋音楽ほど極端ではない。しかし単調一本槍でなく、弦のはじき具合で音量の大小はしっかり表現しており、チョーキングなのか音程の揺らぎもある。
 低音高音弦を同時に弾くことで、和音とは少し違うがハーモニーもある。

 物の本によれば、インド音楽は和音よりも装飾音で音楽を表現する文化らしい。大編成でなく、リズム楽器とタンブーラのシンプルな構成が特徴という。


 本盤はタブラとのデュオでもっと簡素。さらに言うとタブラは鳴り続けではない。ほとんどがシタールの独演になっている。
 それともキンキンと高い音で鳴り続けがタンブーラかな。あえて奏者のクレジットがないだけで。聴いてるうちに、そんな気もしてきた。
 これはそもそもの音楽構造なのか、バネルジーのアレンジか不明だが・・・。

 これが古典音楽だとして、そして成り立ちが宮廷音楽だとして。元の音楽はどんな環境で聴かれていたのだろう。王侯貴族のBGMなのか、ホールで厳粛に向かい合って聴いていたのか。
 延々と即興と思われるシタール演奏が続く本盤を聴きながら、思いをはせてみる。そして単純に、インプロとして音の流れを追ってみる。
 インド音楽としての良しあしはぼくにはわからない。だが、この即興音楽には魅力を感じた。

 漂いながら音は跳ね、優美ながら鋭く切り込む。テンポは一定だしフレーズのタイム感もさほど伸縮しないけれど、一定では全くない。揺らぎ続けている。異文化の価値観に触れたときの、好奇心をくすぐる刺激を本盤から受けた。

Track listing:
1 Thumri Raag Pilu 28:15
2 Raag Bhatiyar 28:50

Track listing:
Sitar - Pt. Nikhil Banerjee
Tabla - Shyamal Bose

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