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Mainliner 「Mellow Out」(1996)

 もこもこの歪みと炸裂が涼やかな、サイケ・ロック。

 ハイライズを筆頭に数々のコンセプトごとにバンドを作る南條麻人が、作曲担当で河端一を迎えたバンドがメインライナー。その1stだ。

 ぼくが東京ライブハウスシーンに興味を持ったのはこの数年後なため、後追いで名前は知っても本盤は当時手に入らなかった。"Mainliner Sonic"(1997)は西新宿のレコード屋で置いてあったけど。
 03年に英Riot Seasonが再発したが、その時も手に入れそびれた。CDでの再発はそれ以降無いはず。2013年にRiot SeasonがLPとカセットでリイシュー。同時に配信も初めて聴くのが容易になった。中古盤でも再発の方は、無茶なプレミアがついてはいないけれど。AmazonだとMP3では曲数単位で計算されてわずか600円。ひええ。このレア盤が、そんな簡単に聴ける時代が来るとは。
 

 メインライナーのコンセプトを言葉にしたら何だろう。この手のページでコンセプト付の箇所を見た記憶があるけれど、たどり着けない。ライブを見ていたら感覚的にわかったのかもしれない。
http://highrise.la.coocan.jp/nanjoprofile.html

 楽曲はすべて河端の作品らしい。
 ごく短い(1)と、15分以上の曲が2曲。なんともアンバランスな構成であり、その不整合さも含めた混沌さが狙いだろうか。
 当時の流行りなのか、スタジオもしくはレコーディング技術なのか、南條の好みか。極端に歪んだ音色で仕上がっている。

 音の輪郭がひび割れ、ゆがみが音楽の要素そのままになった。スカムな雑駁さとは違う。稲光轟く暴風雨の中で聴いてるかのよう。明瞭な分かりやすさよりも、ひずんだ影や制御不能な力をミックスで表現だろうか。
 か細いが滑らかな声がときおり入る。南條の歌かな。
 
 あとは猛烈に前のめりなドラムと、底でメロディアスに動くベース。そしてすべてを覆い混沌と炸裂に叩き込むエレキギターが音像一杯に充満した。
 左右を目まぐるしく音の軸が蠢く。ダブル・ギターにも聴こえるが、超高速のパンニングなだけで実際は一本のギターか。
 吸い付くように同じフレーズのギターが矢継ぎ早に目まぐるしく左右から波打って溢れた。

 ギターのきらめきは止まない。中央にドラムとベースが配置され、両翼からギターが降り注ぐ。小さいスピーカーセット、大きなステレオセット、イヤフォンでの聴取。聴くスタイルによって印象が変わる。
 暴れ歪むギターと対比的に、線は細いがベースがきっちり聴こえるミックスなのが特徴。

 アンプからの出音が溢れ、ハウリングやハムノイズまで巻き込んだエレキギターに対してベースはどこか冷静さを保ってる。
 ちなみにドラムも炸裂。音割れして打点は分かっても音色の深みや迫力は皆無。とにかくエレキギターの存在感が凄まじく、三人寄り添っての剛腕で噴出する勢いに圧倒される。

 音質でサイケを表現した。ドラッギーな空気感や雰囲気ではなく。振り切ったパワフルさで音色を痛めつけ、繰り返される奇数拍子のリフの危うさでサイケな風景を描いた。
 アシッド・マザーズ・テンプルはメインライナーなどが活動中に、もっと客層の広がりを意識して作ったと河端はインタビューで答えてる。http://www.ele-king.net/interviews/003043/index-3.php

 つまり本盤での河端は自らが音楽的なイニシアティブを持ちながらも、南條のコンセプトへ素直に応えている。そんな河端の自由と制限ぶりを想像しながら聴くのも興味深い。
 いずれにせよギターのソロは、全くためらいなく荒々しく爆裂しているのだが。

Track listing:
1 Cockamamie 1:51
2 Black Sky 15:17
3 M. 18:37

Personnel:
南條麻人:bass
河端一:Motor Psycho Guitar
小泉一:Drums

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