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Hakobune 「Parhelion」(2018)

 輻輳する細やかな電気仕掛けの揺らぎが美しい。

 依藤貴大ことHakobuneがカリフォルニア州オークランドのインディ・レーベルConstellation Tatsuから今月、2018年2月にリリースした。カセットとデジタルの二種類あり、全2曲入り。片面づつに一曲を収めた趣向。BandcampやAmazonで購入できる。
 

 (1)の響きがまず心地よい。エレキギターのアンビエント・ドローンがHakobuneの手法だが、本曲は背後にシンセのようなかすかなメロディが聴こえる。サスティンの揺れる波の奥に、ごくうっすらと。

 テンポやリズムは取りづらい。ランダムに鳴ってるような感じながら、それがヒヨヒヨと舞う。
 相当にボリュームを上げても、このかすかなメロディは耳に聴こえない。幻聴かもしれない。
 ふくよかに、まったいらに。雄大ながらコンパクトに。相反する要素の風景が本盤から感じた。
 
 大きく変化しない音像だが、常に音は変わり続ける。これ、エレキギターのインプロだよな。シンセサイザーの多重録音で作ってるような肌触りだ。
 ふっかり柔らかく、風通し良い滑らかさ。ビート感は希薄だが、ゆるやかなうねりはかすかな小節感となった。BPM60くらい?穏やかなはずなのに、けっこう性急なたゆたいだ。矛盾する表現ばかり続くが、とにかくそんなふうにぼくは聴いてしまった。
 ダイナミズムは基本的に一定だが、(1)は後半へ向かって次第にみっちりと圧を増した。

 (2)はしずしず、ひたひたと浸食してくる。(1)が中空としたら、(2)は砂浜。緩やかな低音が広がり、充満して立ち位置を占めてきた。空白の地平に、じんわりと闇が迫ってくる。
 強い圧は無い。滲み、広がり、濃度を増す。無色がいつのまにか灰色の闇に包まれていく。
 ビート感はこちらもない。うねりが小節感を作る方法論は(1)と似ているが、こちらのほうが周期がいくぶん早いため、逆に小節感があいまいに鳴っている。
 
 (2)は無常感が濃い。その一方でどこか達観した響きあり。
 同じように一定の音像がみるみる変化していく構成だが、(2)は少し響きがシンプルに整理された。こちらは幻聴の背後のメロディはほぼ聴こえない。無機質で抽象的な空気が漂った。

 (1)のように一定した進行でなく、ところどころでメリハリが入る。中盤で聴こえる低いロングトーンは男たちの詠唱のようだ。

 似たようなアプローチながら、どちらも異なる。Hakobuneの見事なアイディアづくりを楽しめた。片面づつのあるていど長尺でじっくり浸れるのがいいな。

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