TZ 7314:John Zorn "Filmworks 1986–1990"(1990)

インディ映画を中心に多数の映画音楽を提供したジョン・ゾーンの"Filmworks"第一弾。


時々、猛然とフリーな音楽をつけるジョンだが、本盤ではバンド・アンサンブルを生かした演奏が聴ける。どれもあっというまの小品ばかりなのが、もどかしい。

本盤は1990年に、今は無き日本のWaveから発売。92年に米エレクトラから再発を経て、97年に改めてTZADIKから再発された。4本の映画音楽を収録してる。
本項末尾のクレジットはWikiからの転載。凄腕のジョン・ゾーンゆかりのメンバーが大挙して参加した。

White and Lazy (1986)は6曲を収録。アート・リンゼイら、尖ったロック・バンドなサウンド。ジョンは作曲に徹した。ソロはあってもカッチリとアレンジされている。30分程度の小品でNYのパンキッシュな世界観を描いた作品と言う。ここでのジョンは、見事な座付の作曲力とアイディアの両立を果たした。

The Golden Boat (1990) からは10曲。監督のRaúl Ruizは低予算で素早くとるB級映画で活躍、本作も予算無いなか、録音とミックスを各1日で終わらせたとある。だがジョンに悲壮感は皆無、自らの作曲手法をふんだんにぶち込んだ。この辺、ジョンにとっての映画音楽は挑戦と実験の場なんだと思う。自らの活動予算を得るために、金めあてではないのか。

ジョンはアルト・サックス演奏でも参加した。Robert Quineを筆頭に、脇を固めるメンバーも確実にして豪華だ。上の映画と比較して、いくぶんジャズ寄りでアドリブ要素が強まったと思う。やはりスリリングさが楽しい曲が並ぶ。
サントラとして楽想は曲ごとにがらり替わる。アレンジの統一性は無い。強烈に耳へ残るほど、テーマ音楽の変奏も強調無しだ。
 

続く作品は時代が戻り、短いのを1曲。The Good, The Bad and The Ugly (1987)。
南西アジア(って日本も含むの?)向に煙草のキャメル用にCMソングで発注だそう。
これまでにない音楽ってクライアントの要求に、二度と聴かないような俺の音楽を納品したぜ、とジョンはライナーノーツで嘯く。フリゼールにフリス他、今ならメンバーの豪華さでどんな楽曲だろうと宣伝のネタに事欠くまい。

もっともサウンドは勇ましくもウエスタン風味のいかした曲。スピーディで緩急利かせたアレンジも素晴らしい。見事にハマるため映像つきで見てみたいが、Youtubeで引っかからないなあ。なおタイトルは映画"続・夕陽のガンマン"(1966)の原題。当然、ジョンは確信犯でこの曲のタイトルをつけてるはず。音楽はモリコーネだ。そう、"Big Gundown"。

She Must Be Seeing Things (1986) からは、19曲の小品が並ぶ。畳み掛けるメイン・タイトルからしてかっこいい。ジョンも気に入った一曲とライナーにある。これらを録音したスタジオは、モンクやアイラーもレコーディングした昔ながらの場所で、独特のエコー感が封じ込められた、とライナーにある。

背筋がピンと伸びた凛々しくも少し古めかしい、緊張感が心地良く漂う曲たちが詰まった。ジャズを基調に、繊細なメロディと重心深く洒落のめしたアンサンブルが聴ける。本盤でもひときわ、クールさが漂う楽曲群だ。

Credits:
White and Lazy (1986) Director - Rob Schwebber

Robert Quine - guitar
Arto Lindsay - guitar, vocals
Melvin Gibbs - bass
Anton Fier - drums
Carol Emanuel - harp
David Weinstein - keyboards
Ned Rothenberg - bass clarinet

Recorded and mixed June 1986 at Radio City Studios, New York City by Don Hünerberg.

The Golden Boat (1990) Director - Raúl Ruiz

Vicki Bodner - oboe
John Zorn - alto sax
Robert Quine - guitar
Anthony Coleman - keyboards
Carol Emanuel - harp
David Shae - turntable, vocals
Mark Dresser - bass
Ciro Baptista - Brazilian percussion
Robert Previte - drums, marimba

Recorded May 1990 at Platinum Island Studio, NY by Ricky Belt.
Mixed August 1990 at Science Lab, NYC by Jerry Gottus.


The Good, The Bad and The Ugly (1987)

Robert Quine - guitar
Bill Frisell - guitar
Fred Frith - bass
Wayne Horvitz - hammond organ
David Weinstein - keyboards
Carol Emanuel - harp
Robert Previte - drums, percussion, vocal

Recorded and mixed April 1987 at Radio City Studios, New York City by Don Hünerberg.

She Must Be Seeing Things (1986) Director - Sheila McLaughlin

Shelley Hirsch - voice
John Zorn - alto sax
Marty Ehrlich - tenor sax, clarinet
Tom Varner - French horn
Jim Staley - trombone
Bill Frisell - guitar
Carol Emanuel - harp
Anthony Coleman - piano, organ, celeste, harpsichord
Wayne Horvitz - hammond organ, piano, DX7
David Weinstein - mirage, CZ101 keyboards
David Hofstra - bass
Nana Vasconcelos - Brazilian percussion
Robert Previte - drums, percussion, vibes, timpani, orchestra bells

Recorded and mixed December 1986 at Radio City Studios, New York City by Don Hünerberg.

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