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Kirk Knuffke 「Cherryco」(2017)

 緊張感よりとぼけた味わい。肩の力抜いて料理したジャズ。

 カーク・クヌフクがワン・ホーンのトリオで、オーネット・コールマンとドン・チェリー、二人の曲者ジャズメンによる作品をカバーしたアルバム。

 ピアノや他の管を入れず、必要最小限の編成でアレンジがポイントだ。オーネットもドンも、なんとなくだがもう少し複雑な構成のほうが映えそうな気がする。
 だがクヌフクは散漫さと取ったか、削ぎ落したアレンジを選んだ。

 激しいフリージャズに解釈も出来たろう。だが本作の印象はもっと軽い。とはいえリズムはグイグイ揺らして、寛ぎながらもスリルをさりげなく演出した。
 選曲もほぼ交互。前半がオーネット、後半がドンみたいな二極化はせずに混在させた。
 オーネットはフリーと独自ハーモロディクス追求、ドンは変拍子の構築美追及ってイメージあり。だが本盤を聴きつつ、オーネットもドンも体系立てて聴いてないと実感。
 クヌフクがどう二人を解釈してるか、ピンとこない。
 
 時に厳しく激しいイメージな二人だが、本盤のムードは滑らかで快活。いまいち抜けを押さえて、モゴモゴッとフレーズを遊ばせた。くねくねとトランペットは動き、炸裂せずにアドリブが蠢く。
 だが難解な方向性はほぼ無い。ときどきひねったフレーズやキメがあるけれど、滑らかなメロディばかり。テンポがガラガラと変わるわりに、アルバム全体は親しみやすい。ディキシー風の穏やかなムードを感じる場面まであり。
 総じてトーンが淡々としており、退廃的なムードもチラリ。軽いノリなのに。

 クヌフクの盤もあれこれ聴いておらず、過去の盤と位置づけが分からない。なぜ今、オーネットやドンなのか。
 音数少なくとぼけたムードは、聴きやすく分かりやすい。だがそんなふりに紛れた、コンセプトの裏にあるはずの音楽的な狙いをぼくは聴き取れてない。試しにオーネットとその仲間を吹いてみた、って単純なものでもあるまい。

 こういう盤聴くと、まだぼくはジャズの聴きこみが足りないと思う。上っ面だけでダンサブルなほうがむしろ分かりやすい。うーん、聴きたい盤がどんどん増えるな。

Track listing:
1 ROLAND ALPHONSO (Don Cherry) 5:58
2 THE SPHINX (Ornette Coleman) 5:53
3 ART DECO (Don Cherry) 7:21
4 REMEMBRANCE (Don Cherry) 4:58
5 GOLDEN HEART (Don Cherry) 4:12
6 LONELY WOMAN (Ornette Coleman) 2:55
7 JAYNE (Ornette Coleman) 6:58
8 SONG IN D (Don Cherry) 7:44
9 PARIS AMBULANCE SONG (Don Cherry) 4:28
10 ANGEL VOICE (Ornette Coleman) 5:15
11 MIND AND TIME (Ornette Coleman) 3:46
12 CHERRYCO (Don Cherry) 4:00

Personnel:
KIRK KNUFFKE cornet
JAY ANDERSON bass
ADAM NUSSBAUM drums
Recorded February 2016

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