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Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Live in Occident」(2000)

 機材トラブルまで込みで音盤化した稀有なコンセプトの盤。

 元はLP2枚組で米Detectorから発売。11年にブラジルのEssence Musicから500枚限定でCD再発された。ディスコグラフィーを見ると、アシッド・マザーズ・テンプルとして初のライブ盤らしい。
 AMT結成は97年だから、時代としても初期の音源にあたる。

 ライブ盤とは臨場感を伝えるコンセプトである。なおかつ完成度を目指してミュージシャンによっては演奏の差し替えまで行う。
 だが本盤は違う。宗家は文字通り、ありのままを封じ込めた。中間で音が途切れる。アンプが飛んだのか、接続トラブルか。観客が毒づき、混乱が訪れる。だが河端一は「それもライブや」と、無造作にそのまま音盤化した。それが、本盤。
 
 一方で本盤はある一か所のライブ音源ではないらしい。本稿末尾に転記のとおり99年4~5月に欧米で23公演した“Pataphisical Freak Out MU Tour”から抽出した。
 だからこそPAトラブルの音源まで入れたコンセプトのユニークさが際立つ。カッコよさよりも、混沌とありのままを封入してる。
 収録曲が7曲で、演奏場所も7ヵ所。曲順と収録場所は一致してる、のかも。

 演奏はどれもハイテンション。当時の代表曲がずらり並ぶツアー・メニューのセットリストな感で流れを整えた。
 いわゆる曲演奏とインプロを挟んで仕上げた。
 
 ところで本盤、全体的に音質が悪い。(3)のようにくっきりした音もあるが、オーディエンス・ブートみたいなもの。サン・ラみたいに音盤権を渡してギャラにしたのか。もっといい音質の物がないのか。
 この00年って時代は、まだスカムな音質でのカッコよさって価値観が残ってた気もする。それにしても。

 演奏の中で、僕が好きなのは(4)。代表曲であり、きれいな曲なのが理由ではあるけれど。
 ショート・ディレイを駆使したギターと、華やかに跳ねるシンセ、頼もしいベースに太いドラム。夢見心地のアンサンブルが素敵だ。

 ちなみにPAトラブルは(5)で発生。重たく鈍くドローン気味な演奏の途中でいきなり音が途切れる。ドラムが一瞬演奏を続けるが、それもやめてしまう。
 観客かスタッフか、毒づき続けた。観客たちが手拍子と唸りでメロディを騒ぎ続け、途中から津山っぽい声で歌が加わる。
 ドラムのシンバルが刻み、一呼吸おいてPAも復活。ギターが吼え始めた。

 この盤はむしろヘッドフォンで聴きたい。スピーカーからだと大音量でないと、臨場感が伝わらない。
 ライブ会場ではともすれば、轟音で音のエッジや細かなところがあいまいになる。本盤の音質は、まさにそのまま。でかい音ならばまるでビール片手に会場にいた気分を味わえる。

Track listing:
1 Acid Milk Milky Way Also Jupiter 888 8:54
2 Rising From The Cool Fool Inferno 4:47
3 Astrological Overdrive 17:54
4 Pink Lady Lemonade (I Wanna Drink You) 10:40
5 Blue Velvet Blues 10:51
6 Speed Guru 9:40
7 Lucille 6:46

Personnel:
Cotton “Super” Casino : vocals, synthesizer
津山篤 : bass, vocals, bass harmonica
東洋之 : synthesizer, guitar, vocals
小泉一 : drums
河端一 : guitar, theremin, vocals
Recorded at
Bottom of the Hell, San Francisco 21.Apr.99
KFJC “The Pit” San Francisco 22.Apr.99
“The Deep Heaven Festival,” The Space Station, Boston 24.Apr.99
The Cooler, New York City 26.Apr.99
World Famous Star and Carter, Manchester 4.May.99
Ragtime, Toulouse, 20.May.99
“La Fete De “lHmanite,” Espacee C.U.F, Toulouse 21.May.99

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