TZ 7332:John Zorn "The Gift" (2001)

"Music Romance"シリーズ3作目の端正なラウンジ音楽。ジョン・ゾーンの音楽性のなかで、どうもしっくりこない。一般的に聴きやすい音楽の筆頭だが、逆にジョンの特徴を著してるとも言い難い。帯には「For "lovers" only」の言葉まであり。どこまで真剣か、悩む。

"Music Romance"はおそらく聴きやすさ優先の音楽、だろう。そもそもジョンは狭義の「売れ線」を追求してない、と思う。前衛やユダヤのルーツを追求する音楽性の中で、かなり本盤は違和感ある立ち位置だ。
もっともリボンがデザインされた綺麗なジャケットを開けて、ブックレット見たら不穏な空気の少女イラストが並び「ああ、ジョンらしいキッチュさだ」と、かえってホッとする。

アンサンブルの基本はマーク・リボーのギター他の5人編成。以下の参加ミュージシャンでWith…以下が、ゲスト。ジョンは作曲/アレンジのみならず、ピアノとテルミン演奏でも参加した。

情感滴るエキゾティックなメロディを、タイトで端整な演奏がかっちりと支える。アレンジはちょっとミニマル要素がある。
アドリブ・ソロの場面があっても、根本でインプロ要素は非常に希薄だ。ジョンらしい数値作曲や高速カットアップな要素も無い。緊迫した寛ぎという形容矛盾の世界観が広がる。

わずかなラテン風味のパーカッションに、メロディから滲むクレツマー。トロピカルなリズム感とジャジーなスイングを忘れぬリズム。
キメラみたいな複数の要素を混ぜたところは、たしかにジョンらしいかも。

聴き進めるにつれて"Music Romance"らしい、どっかおどろおどろしいスリルも漂わせる。
冷静に考えると、やっぱジョン・ゾーン未聴の人に薦めづらい盤だな。これを聴いてジョンだと思ってほしくないし、逆に音楽の底から滲む緊張した香りを感じて、忌避してほしくもない。

フリーキーで猛スピードで複雑怪奇なジョンの音楽に食傷したら、本盤でいったん耳のコリをほぐす。そして再び、ジョンの尖った音楽世界へ飛び込んでく。そんなペース配分で本盤聴くのが良いかもしれない。

Personnel:
Marc Ribot: Guitar
Jamie Saft: Organ, Wurlitzer Piano, Piano, Keyboards
Trevor Dunn: Bass
Cyro Baptista: Percussion
Joey Baron: Drums
 
With…
Jennifer Choi: Violin
Greg Cohen: Bass
Dave Douglas: Trumpet
Mike Patton: Voice
Raman Ramakishnan: Cello
Masumi Rostad: Viola
Ned Rothenberg: Shakuhachi
John Zorn: Piano, Theremin

本盤の寛ぎソング、としてぼくはこの曲が結構好きだ。

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