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Dabo 「Platinum Tongue」(2001)

 日本ヒップホップ史に残る傑作。クールさとユーモアが同居する。

 ニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンドの一員で、ラップ巧者の名をほしいままにしいるDABOの1st。ニトロの1stが発売の翌年に、本盤がリリースされた。
 事前にシングルで(9)/(17)、(15)/(2)(9)とリリースで地ならしの上で本盤をリリース。
 さらに直後(8)/(4)、(10)と立て続けにシングルを切る。めいっぱい本盤を盛り上げた。
 
 Mr.フダツキーって異名、「間違いない」ってキャッチフレーズ。地を這い畳みかけるリズミカルなラップのスキルと、さまざまな要素で自らをアピールするさまはどこにも隙が無い。
 DABOの低音は実に腰にくる。リズムに吸い付きながら、ゆるやかにグルーヴするノリがめちゃくちゃに決まってる。
 
 さらにサービス精神も旺盛。オラオラ系やアウトローのイメージ戦略ながら、ユーモラスな雰囲気で親しみやすさを平然と演出した。
 これはニトロ本体にも言えることだが、ギャングスタきどりがリアルな日常らしいアメリカと異なった、日本独特の方向性だろう。

 敢えて言うと、ファッション的なキメっぷりで成立する。それがかっこ悪くなく、幅の広さを現した。とはいえ意図的にニトロの面々がギャグや笑いを狙ったわけではあるまい。たぶん、ほんとうにサービス精神の発露ではないか。

 02~03年頃をピークとして、ニトロはソロも含めてとても奇妙な方向性に向かう。
 もともと彼らのラップは自己顕示や脅しが主眼ではない。言葉遊びをふんだんに織り込んだ口調の面白さとリズミカルさをとことん追求してる。
 だがメジャーにのし上がって大金掴み、金ぴかじゃらじゃらセレブ仲間入りって方向性には行かない。

 これは単にアメリカと日本のマーケットの違い。そこまで日本はヒップホップの市場が大きくないようだ。
 あとはのし上がるハングリー精神と成功っぷりを下品なほど表現するアメリカと、仮に成功しても大物気取りを良しとしない日本の文化が背後にある。権力者はフィクサーで陰に潜み、お山の大将は日本だと嫉まれる。

 そんなエセ文化論は横に置こう。単にこのアルバムのかっこよさに浸ろう。
 ラッパーとしての客演はニトロから(6)でSuikenのみ。敢えてニトロのブランドに頼らず、DABOは堂々と自らのラップ・スキルをぞんぶんに披露した。

 数人のフィーチャリングはいる。だがそれよりも、本盤で印象深いのは多重録音を駆使したDABO自身のスピーディなベシャリをとことん披露した。
 拍にかぶさり、引っ掛け、余らせる。言葉をビートにさまざまな要素で絡ませ、通底するのは剛腕の滑るラップ。

 早口、語彙、韻の踏みっぷりのテクニックをひけらかしではない。ラップするスキル、そのものを見せつけた。
 もちろんライムはそこかしこで韻を踏んだ。でも冴えまくるラップの技は、言葉の中身がどんな内容でも凄さは変わらない。

 本盤で浮かぶDABOの人間性は、気取り屋でも凄んだヤンキーでもない。もっと自由で幅が広い。そして、かっこいい。
 18トラックにも及ぶ作品はとにかく密度が濃い。もっと余剰を削ぎ落して、淡々としたビートでラップをかますだけでも、抜群のアルバムに仕上がったはずだ。

 だがDABOは過剰を目指す。曲調をさまざまに、テンションやビートもあれこれと。ユーモアのセンスも忘れず。
 しかしラップは手を抜いてない。するするとヌメりながら駆けていく。

 
Track listing:
1 Platinum Intro 0:40
2 Mic Check 2:57
3 マチガイナイ ! 4:01
4 O-Re-Ba-Na 4:58
5 Bunny Talks 1:02
6 Platinum Tongue Rap [Featuring] - Suiken 4:38
7 Hi-Life (Relaxxx) 5:02
8 Pinky ~だから、その手を離して~ [Featuring] - Tyler 5:14
9 拍手喝采 4:13
10 レクサスグッチ 4:29
11 徒然草 Rap [Featuring] - Hunger , Maccho 4:24
12 愛しのサブリナ 4:04
13 R.E.C. Room (Bad Trip) 3:50
14 Daimonion Funk (I Got Cha) 4:39
15 Jolly's Piano 1:04
16 この指止まれ [Featuring] - CQ 5:17
17 Sneaker Pimp (Two Pimps In A Cypher Mix) [Featuring] - Twigy 3:56
18 Zero (Mukasee Mukasse Mix) 4:03

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